その①
今から30年前位の話。福岡は南蔵院の隣、S栗町出身のわたしの先輩、ももちゃんはラグビー部の主将であると同時に人呼んで、
「博多ハードロック界のシーラカンス」
と異名をとる凄腕のギタリストでもありました。今は中華屋やってるはず。
しかしながら、不思議な物にも出会う才能のある方でもあり、アルバムの写真の大部分がいわゆる心霊写真だそうです。
そのももちゃんが学生時代やってた文化祭バンドの話ですが、コミック色の強いバンドだったらしくレパートリーの一つに林家喜久蔵師匠の影響なのか?「イャーンバカーン」ってのがあったそうです。
サビの部分が、「イヤンバカーン」ガガガガ!を三回繰り返し。てな感じ。
で、田舎の事ですから、いなやと言って、農耕機具を置く小屋があるんですが、ももちゃん達は、日々そこに機材を持ち込み、その曲を含む、文化祭バンドの練習をしてました。
さらに自分達の演奏をチェックすべく、ラジカセをガチャンとやりながら録音を聞き返してたそうです。
だけど、何度やっても何だかしっくりこない。リズムが甘いのか?ピッキングが弱いのか?いや、何だかとにかく違和感がある。
てんで、何回もガチャンとやってたんだけど、さっぱりわからない。そのうちだんだん日が落ちてきて、いくら田舎だってボリュームあげて演奏出来ない時間帯になってきました。
じゃあ、最後の演奏ねってんで、プレイして録音後、それを聞きながら皆めいめい機材をかたしはじめました。
やっぱり何事もなく曲は進み、エンディング。
「イヤンバカーン!」ガガガガガ!
「イヤンバカーン!」ガガガガガ!
「イヤンバカーン!」ガガガガガ!
「はーーーーーい!!!!!!!!!」
と、割れんばかりのボリュームで、知らない人の声が入っており、同時にハンガーでタンスに掛けてた学生服が、一番目の段から二番目にふわりと勝手に動きました。
ももちゃんのバンドは結局、文化祭には出れなくなったそうです。
イヤンバカーン!
その②
その南蔵院近く、S栗町の隣にU未町ってのがあるんですが、そこの家族で営む居酒屋の看板娘もやはり同じ名字で、あだ名はやはり、ももちゃん。
こちらは三十代末なんですが、木の花咲弥姫もかくやとばかりの大変な美人でしかも独身!さらに性格もよろしいもんだから、これで田舎町の客が来ないわけがない。
地元にぴったりハリハリ仮面で、お店は大いに賑わってるそうです。
ところが、こちらのももちゃんもやはり、そういう因果な体質で、アルバムの写真のほとんどがいわゆる心霊写真に満ち溢れているそうです。
彼女が、高校の修学旅行に行った際、何だか知らないが、全部の写真の下部に炎に包まれ絶叫する、ミイラたち?が写っており、ももちゃんも一目見て驚愕しましたが、そこは天然美人特有の心も頭も暖かい、ももちゃんでしたから・・・
「うん、確かにヘンなのが写ってるけど、何だか楽しそうだから、悪いモノじゃないんじゃない?きっとわたしを守ってくれてるモノに違いない。ね?お母さん、そうじゃない?
と、写真を見せたところ、母親は一目見て顔色を変え、ももちゃんから全ての写真を取り上げて焼き捨ててしまいました。
ですんで、結局これが何だったのか、今に至るまで分かりません。
イャーンバカーン。
(アトラスラジオ・リスナー投稿 能傍タルツさん ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
Pete LinforthによるPixabayからの画像