【衝突する郵便配達中の天狗】
明治時代初期に描かれたもの。当時、郵便(電信)による電話は不思議な現象と解釈された。中には妖怪が居て、それと伝達しているものだと言われていた。その電信する妖怪が空中で衝突してパニックを起こした様子を描いたものだ。
【芳年略画天狗之世界】
画像は、『芳年略画天狗之世界』と呼ばれるもので作者は浮世絵師の月岡芳年。彼は、江戸後期から明治にかけて活躍した”最後の浮世絵師”とも呼ばれている。
江戸川乱歩などの影響によって血みどろな絵、いわゆる「無惨絵」の印象が強いものの、忠臣蔵の五段目をコウモリが”蝙蝠傘”を持ちながら演じている様子の浮世絵(「蝙蝠之五段目」)など、非常にユーモアに富んだ作品も多く残している。
この天狗画は、浮世絵としては珍しく電信柱と電線が描かれているのが特徴であり、これによって空中にいることを表現している。
(写真:山口敏太郎事務所 所蔵)