2024年11月13日に放送された『世界の何だコレ!?ミステリー3時間SP』(フジテレビ系列、水曜19時〜)では、消えかけている三日月のように見える不思議な形の半島をコカドケンタロウ(ロッチ)がわずか1泊2日で調査!ゲスト出演していた朝日奈央が、VTRを視聴しながら「なんかエビ、エビみたい…」と島の形をなぞらえた。
野付半島という島で北海道知床半島に近く、国後島とはおよそ16kmしか離れていない。なんと海流により砂や砂利が、およそ4000年も積もってできたんだとか。ネットでは、「消えゆく半島」と呼ばれている。年間で平均1.3cm地盤沈下しており、本当に小さくなりつつあるとか…
「緑の割合が少ないっすけど、これはどこが行けるところなんですか?」と、地図を見せられて困惑した様子のコカド隊員。縦長に湾曲した形の島を縦断するのに、およそ26kmもかかるとか。
横幅が細くて、およそ40mしかない場所も。なんと半島の途中までしか道路がなく、人も住めない秘境である。
臀部の白い毛がフサフサしたエゾシカを発見!コカド隊員が今年の7月に調査しに行った、知床半島のエゾシカより目立つ。日本野生生物リサーチセンターの里中遊歩さんによる解説では、逃げながら周りの仲間に危険を知らせるために臀部の毛が逆立つ生態なんだとか。夏毛・冬毛の違いも多少ある。
初夏から秋の海には、ゴマフアザラシの大群も見える。特に8月は、多くて50頭以上も!
野付半島のホタテは、北海道一大粒なんだとか!通常のアサリ(約2cm)より、大きいアサリ(約5cm)も採れる。味噌汁やパスタの具には大き過ぎるかもしれないが、ハマグリみたいに焼いて食べても美味しそうだ。
複雑な湿原や干潟が広がっている半島なので、多種多様な動植物が棲息し独特な生態系となっている。ラムサール条約湿地(2005年)に指定されている。
自然保護区域に立ち入り禁止のゲートがあり、普段は鍵がかけられているが今回だけ特別に通してもらえた。もちろん、外来植物などの持ち込み禁止。
地盤沈下により海水が流入し、立ち枯れした木々ばかりの殺風景な景色が広がっている。「世界の終わり」と呼ばれている。立ち枯れした木に棲息している幼虫を、アカゲラが食べに来る。キツツキの仲間であるアカゲラは毎年、木に穴を掘って巣作りする。
アカゲラの巣跡に、ネズミやエゾモモンガなどの小動物が巣穴を広げて棲んでいる。世界の終わりに見えたが、生態系は連鎖していた。
中間地点にある野付半島ネイチャーセンターでは半島の歴史や動植物についての展示だけでなく、「のつけラーメン」や「別海ホタテジャンボバーガー&牛乳セット」などが頂けるレストランまであるんだとか。宿泊施設ではないが、特別に1泊させてもらえた。
「海のルビー」と呼ばれている、茹でると鮮やかな紅色になる北海シマエビまでご馳走になった。「や〜、甘い!甘みもあるし、このちょっと味噌なんか付いちゃったりしているとこ…うまっ!」と、コカド隊員は幸せそうな満面の笑み。
明治時代から伝統的に行われる打瀬舟漁で獲れるが、乱獲を防ぐため夏と秋に2週間ずつくらいしか漁をしてはいけない。なんとも貴重な食材!
さらに野付半島の夜空はリアルプラネタリウムとなり、満天な星空を360度見渡せるそうだが…残念ながら、天候不順のため見えなかった。
だが朝になってからスタッフに起こされると、エゾシカのオス同士で角を突き合わせ力比べしている光景を窓際から傍観できた!喧嘩ではなく、若いオス同士がトレーニングでやっている可能性があるそうだ。
「幸先がいいですね」とコメントしたコカド隊員の顔は、パンパンに腫れ疲れている様子だった。「エビ食べ過ぎちゃった…」と、またもやVTRからエビと関連付けしたがる朝日。
10月から11月はシカの繁殖シーズンで、オス同士の戦いに勝ち抜いた1頭だけがメスの群れに入れる。シカの世界は、まるで大奥!?
里中さんの解説によれば、オスが戦おうと順番待ちしているとこをロケで邪魔しちゃった可能性も!?生態系の連鎖こそが本当の戦いなのだろう。
いよいよ「この先関係者以外車両進入禁止」の標識がある地点まで行き着き、道路が途切れ砂利道になった…半島先端まで残りおよそ7kmだけとなった。
雨水や雪解け水でできた唯一の淡水池もある。「野付半島のアイドル」と呼ばれているユキホオジロが、北極海沿岸から飛んできて半島周辺で越冬するので観光客から人気なんだとか。
さらに、絶滅危惧種の天然記念物であるオジロワシまで棲息している。数百メートルも見通せるほどの視力があり、高い所から魚を獲るタイミングを見計らっているようだった。
またもや普段は入れない場所へ案内してもらった。水深1m以下の浅瀬があり、海上を走るシカもここでは珍しくないんだとか。
実は通行屋という宿泊施設が江戸時代にあり、国後島へ行く中継地点であった。船が行き交い、漁のために番屋も並んでいた。かつては多くの人々が住んでいて賑わっていたそうだ。現在の砂地だけでは想像ができなかったが、そこにひっそりとあり続ける墓地が証明していることになる。
半島先端までわずか1.5kmくらいのとこで、満潮の海面全体が美しく空を映す水鏡となる絶景スポットまであるんだとか!野付湾の約70%の面積で自生しているアマモという植物で波が緩衝されており、風のない晴天でないと見えないので風が止まずに断念…
最高の絶景は見えなかったまま、とうとう先端まで辿り着いてしまった…「この世の果てであり、この世の始まりでもあるっていう感じもするけどな…ここオシャレなこと言っちゃうよね」とのコカド隊員は、空が曇っていても清々しい笑顔で明るく締めたのだった。
島の先端は海と砂や砂利以外、ほとんど何もないかのよう簡素な景色だったが哲学的とも言えまいか。終わりも始まりも結局は何もないのが、世界であり人生でもあるのだろうか…
何もないとも言えるが、もしかしたら何かあるとも言えるのかもしれない。先端と呼べる場所まで辿り着いた人は皆、コカド隊員のような笑顔になれるのだろうか!?
(☆よみらいたー古都奈 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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