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浪速のモーツァルト「キダ・タロー」、ショパンのほうが好きだった!?

2024年5月にこの世を去ったキダ・タローは、関西を代表する作曲家として知られていた。番組テーマ曲からCM曲、社歌・校歌など、ありとあらゆる曲を数多く生み出し、一時は、関西のテレビ・ラジオを含めた放送番組のテーマ曲のほとんどが彼の作曲したもので独占されていたほどであったと言われている。

新番組が立ち上がるたび、最後に音楽のことになった際には「キダはんとこ行け。あいつやったら、すぐにやりよるやろ」といった調子で依頼されていたという逸話もあり、常に締切りに追われていた状態だったという。また、長年の功績が称えられたことで、全国ネット番組『わが心の大阪メロディー』にてCM曲の商品名が伏せられた状態での合唱曲メドレーが放送されたこともあった。

ほんの一部であるが、「プロポーズ大作戦」「ラブアタック」などの番組のテーマ曲や、「くいだおれ」「出前一丁」「かに道楽」といったCMソング、「アホの坂田」のテーマ曲などがある。また、関東圏のものでは「小山ゆうえんち」のテーマ曲も彼の手掛けたものである。歌謡曲としては、北原謙二の「ふるさとのはなしをしよう」などがある。作曲した曲数は(自称)5000曲にも及ぶという。

彼の多彩な作曲の数々から、「浪速のモーツァルト」の異名を持っていることはよく知られているが、実際の所彼はこの愛称に納得していなかった節がある。

そもそもこの異名は、人気番組「探偵ナイトスクープ」のプロデューサーを務めたことで知られる松本修によって名付けられたものだという。

「キダさんはモーツァルトの魂を持ってる」とまで称していたようであるが、これは松本自身がモーツァルトの大ファンであることに引っ張られたものであり、キダ・タローも「勝手な思い込み」としている。

一方の、キダ・タロー自身はというと、モーツァルトではなくショパンを非常に好んでおり、「あの人の音楽はどこをとっても全部美しい」と絶賛する。さらに言えば、音楽家のモーツァルトはあまり好きではないとまで言っている。

モーツァルトも、多様な曲を生み出した天才的な作曲家として知られる人物であるが、彼の逸話として有名なのは、あまりにも下品で下ネタが好きであったということだ。

『オレの尻を舐めろ』という楽曲を歌詞付き(カノン)で発表、プライベートでも従姉妹宛の手紙に「君のベッドをクソまみれにしてやる」「ぼくのお尻が火事だ」などといったオゲレツきわまりない文面を記していた。

ところで、キダ・タローは関西人であったとはいえ、プロ野球においては阪神ファンではなく近鉄ファンであったという。彼が阪神のファンではなかった理由は、一言で言うと「ファンが熱狂的過ぎる」に尽きるだろう。

生前、「下品が嫌いなんです」と幾度も話していた彼は、その言葉通り上品を好んでおり、阪神ファンのあまりに熱狂的な言動に対しては「上品ではない」「苦手」だとして受け入れられなかったそうだ。

そんな彼が、下品の極みと言っても良いほどのモーツァルトを好まなかったというのも、ある意味で必然だったのかもしれない。

【参考記事・文献】
キダ・タロー
https://dic.nicovideo.jp/a/%E3%82%AD%E3%83%80%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%83%AD%E3%83%BC
死去のキダ・タローさん「音楽家としてのモーツァルトはあまり好きやない」「私の好みはショパン」
https://www.daily.co.jp/gossip/2024/05/15/0017657324.shtml
モーツァルトはとんでもない変わり者?その性格に迫る!
https://colorfl.net/mozart-seikaku/#i-3
「下品」嫌ったキダ・タローさん 阪神は「熱狂的すぎて苦手」「モーツァルトよりもショパン」
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202405160000135.html
【キダタロー】浪花のモーツァルト 大好きなのはショパン
https://www.zakzak.co.jp/people/news/20101215/peo1012151538000-n1.htm

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【文 ナオキ・コムロ】

画像『浪花のモーツァルト キダ・タローの ほんまにすべて