世界で一番有名な未確認生物といえば、イギリスはネス湖に生息しているネッシーだろう。
ネス湖には古代から巨大な怪物が出るという伝説があり、1930年代にこの地が整備され、湖畔に自動車道路が出来てから飛躍的に目撃者が増えた。そして、まるで伝説の生物の存在を証明するかのような写真も撮影されていくようになるのである。
そんなネッシーの存在を科学的に確かめようとする試みは昔から存在していた。あるものは写真を研究し、あるものは日々観測を行い、最新の科学技術を導入して検証しようとしたのである。
1972年、弁護士のロバート・ラインズ氏を団長としてボストン応用科学アカデミーがネス湖に水中カメラと音波探知機を導入し、綿密な調査を行った。その結果、約50センチほどの生物のひれのようなものを撮影。1975年にはネッシーの全身や顔を写真に捉えることに成功したのである。
これらの写真は今でもネッシー存在の有力な証拠として紹介されることが多い。しかし、これらの写真には当然ながら懐疑的な視線も当時から寄せられていた。ネス湖の湖底には泥などが多く堆積しており、非常に見通しが悪いと言われている。水中カメラを入れてみても、すぐに泥などが舞い上がって視界を奪ってしまう。そんな状況で正確な写真を撮影することができたのだろうか。
実はネッシーに関する著述家のトニー・ハームズワース氏の検証に寄れば、このヒレの写真を大きく引き伸ばした改訂版を確認してみた所、はっきりと絵筆の跡が存在している事が確認されたのである。
つまり、現在出回っている有名な「ネッシーのヒレ」の写真は、それっぽく見える物体が映った不鮮明な写真を絵筆でレタッチして強調することによって創作されたれたものだったのだ。後に、この写真のレタッチについて前述のラインズ氏は雑誌編集者によるレタッチがあったかもしれないと認めている。
しかし、それでもネッシーの研究を行っている人々によれば、レタッチが解除されたあとでも確かにヒレのように見える物体が映っている事は間違いないと言われている。
未だに目撃証言の存在するネッシーの正体が明らかになる日は来るのだろうか。
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)