11月7日、世紀の接戦と呼ばれたアメリカ大統領選の投票結果が発表。ドナルド・トランプ候補が第47代アメリカ合衆国大統領として再選を果たした。
今回、トランプ氏は選挙活動中に様々な発言を残していたが、中でも「ディープ・ステート」への言及が多いことが注目を集めていた。「ディープ・ステート」は日本では「影の政府」とも呼ばれており、「政府の政策に不当な影響力を行使する、強力な官僚や役人からなる影の組織」とされる存在だ。
主に陰謀論の世界では、世界を裏から牛耳る組織とされることが多い。しかしトランプ氏は自身のSNSである「トゥルース・ソーシャル」はじめ、メディアに出演した際など様々な場で「ディープ・ステートを解体する」と述べている。
現地メディアが2023年1月1日から2024年4月1日までのトランプ氏のトゥルース・ソーシャル内での発言を分析したところ、「ディープ・ステート」潰しに関する内容を実に56回も投稿しており、そのうち9回の投稿では「どのようにディープ・ステートを潰すつもりなのか」具体的な計画を打ち出している。
さて、多くの人にとっては「ディープ・ステート」は陰謀論の用語の一つでしかないが、トランプ氏が言うところの「ディープ・ステート」は、天気予報から郵便配達まで政府サービスを提供するために働く、政治家ではない何千人もの公務員や問題分野の専門家のことだという。
トランプ氏によれば、これらの専門家集団こそが「ディープ・ステート」であり、トランプ氏を妨害しその権力を弱体化させることで、最初の任期中に彼が望んだことをすべて達成することを妨げた要因だという。
そこで大統領に再選した暁には、「公務員を削減し、機関や専門家の力を制限し、キャリア官僚をトランプに忠実な人物に置き換える」ことで「ディープ・ステートを解体する」という多段階の計画を打ち出している。
この動きは大統領一期目には既に存在していたものであり、事実最後の3カ月で政府の専門家や公務員を解雇し、忠実な公務員に置き換えることを容易にする大統領令を出した。
通称スケジュールFと呼ばれるこの計画は、バイデン大統領がトランプ大統領の就任時に大統領令を取り消したため、完全には実施されなかったという。
事実、アメリカ国内からはトランプ氏や彼の支持者がどこまで本気か解らないが、議会はトランプ氏やその後の大統領への盲目的な忠誠心ではなく、専門知識と功績に基づく政府サービスを維持するために動くものであるべきだ、とする意見も多い。
公金や予算の無駄遣い、腐敗した体制の一新も必要な事ではあるが、トランプ氏のロードマップでは極めて権威主義的なものになってしまうと危惧されている。
果たしてトランプ大統領は二期目の国家運営をどのように行っていくのか。今後の動きから目が離せない。
(加藤史紀 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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