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古代ローマの超技術!自己修復能力を持つ「ローマン・コンクリート」のスゴさ

現在、使用されている鉄筋コンクリートの寿命は50年から100年ほどであると言われている。だが、古代ローマの神殿パンテオンなどで使用されているコンクリートは、基礎やドーム部分がこれまでほとんど改修などされていないにもかかわらず、およそ2000年が経過してもなおその姿を変えずにとどめている。

古代ローマ時代の技術力によって作られていた「ローマン・コンクリート」は、現在からみても当時のローマ人がいかに高い技術を有していたかを物語る、非常に優れた技術として知られている。

先にも言ったように、その大きな特徴は強度と耐久性だ。これまでローマン・コンクリートは、なぜそれほどの優れた性質を持ち得たかについて謎に包まれていた。しかし、近年においてこのローマン・コンクリートの原料に使用されている詳しい内容が明らかとなった。

ローマン・コンクリートは、火山灰、石灰、火山岩そして海水を混ぜ合わせているということが判明し、それらが強度や耐久性に強く影響を及ぼしているということもわかっている。

火山灰が混ぜ合わされることで、結合作用のある化合物が生成されて強度が高くなるという点もあるが、特に重要な役目を果たしているのが海水だ。海水による腐食作用を利用した仕組みを備えることによって、細かい亀裂が入った時に海水中のカルシウム成分が、その亀裂を埋めて自己修復するという驚くべき作用を発揮する。火山灰や海水を用いることによって、月日を経るごとにコンクリートは少しずつ強度を増していくことができるという寸法だ。

また、使用されている石灰についても、従来では水酸化カルシウムである「消石灰」が使用されていると考えられていたが、実際にローマン・コンクリートで使用されているのは酸化カルシウムである「生石灰」もしくはそれと消石灰の混ぜ合わせだったと言うことが研究により示唆された。

この生石灰は、ホット・ミキシングと呼ばれる発熱反応を起こすことができ、コンクリートを加熱するとさまざまな反応が促進され、固まる時間が大幅に短縮されてかつ迅速な建設を可能としたという。

そして、この反応は先の海水による自己修復にも関わっており、水と反応することで炭酸カルシウムとして再結晶化することを可能にしている。ある実験によると、現在と同じ材料に加えて生石灰を混ぜ合わせたコンクリートにわざと亀裂を作り、そこに水を流し込んだところ、なんとその亀裂が2週間以内に修復されたという結果が確認されたという。強化と自己修復を兼ね備えたローマン・コンクリートの凄まじさがおわかりだろう。

ただし、ローマン・コンクリートは、その原料に火山灰や石灰を要するため、それを入手するためには土地による制約もあり、また引張強度が無いために建造物の構造も偏ってしまう。実際、ローマン・コンクリートが使用されている建造物はアーチやドーム構造のものがほとんどだ。さらには、温度変化への耐性が現代のコンクリートに及ばず、寒冷な土地では凍結・解凍の繰り返しによって亀裂もできやすかったという。

現在では、通常のコンクリートよりもはるかに強度と耐久性を有するジオポリマーの研究が米軍によって進められていると言われている。それを作り出す用途を含めて、このローマン・コンクリートの研究が今日でも進められている。一説によると、大ピラミッドで使用されている石も、このローマン・コンクリートに似た技術で作られたのではないかと考えられている。ローマン・コンクリートが現代に蘇る日は近いのかもしれない。

【参考記事・文献】
ローマ建築に関するQ&A
https://rome.europa-japan.com/architecture/architectural_technology/entry153.html
古代ローマの建物はなぜ長持ちするのか、科学者が謎を解明
https://www.cnn.co.jp/style/architecture/35200239.html
「なぜ古代ローマ時代のコンクリートは2000年もの耐久性を誇るのか?」の謎が明らかに
https://gigazine.net/news/20230110-ancient-roman-concrete-durable-hot-mixing/
古代ローマ時代のコンクリートは、今も強度を増していた──その驚くべき理由が解明される
https://wired.jp/2017/07/30/roman-concrete/

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【文 ナオキ・コムロ】

画像 ウィキペディアより引用