2015年8月に発行された『奇食珍食 糞便緑』(著=椎名誠)には、マイナス40度cのシベリアでの、椎名誠によるツチノコ(?)目撃談が紹介されている。
ビール瓶より太く、ビール瓶よりも長い姿であった。
これが冷凍であったと目次に書かれているのだから、書店で立ち読みしていた私は、わくわくとしてページをめくった。すると、なになに、街中を散策していると不意に便意をもよおすことがあるが、それがシベリアの街中で椎名誠にもやってきた。街中だから、そこらで野糞というわけにもいかない。そのときに椎名が思いついたのが、工場の道路に面した巨大な扉の裏側である。
開かれた観音開きの大扉が作る塀との間の空間である。椎名はここに駆け込む。すると、そこにビール瓶大のツチノコがいる! しかもマイナス40度cで凍りついているのだ!
椎名は便意を忘れて驚いたのだろうが、やがて、それが日本人より体格の大きなロシア人男性による大便の凍りついたものであることに気づいた。まあ、椎名は即断で男性としたが、女性の可能性もあるとすぐに判断を修正している。
とにもかくにも、椎名誠によるシベリアでのツチノコ発見という世紀の発見は、その発見から数十秒後には、見間違いであることが判明した。それはさておき、日本人の椎名も地元のロシア人も、街中での不意な便意には同様な発想と実行を行うということである。日本国内の街中ではいかがなものであろうか?
この冷凍のシベリア・ツチノコの話は、おそらく、仲間内では飲み会のバカ話などに活用されたのであろうが、『奇食珍食 糞便緑』の発刊までは公けではなかったのであろう。日本のツチノコファンの間では、すでに有名な話かもしれないが、ネット検索では私には見つけられなかったのでここに報告したい。
【写真説明】シベリアの冷凍ツチノコの載る『奇食珍食 糞便緑』(集英社・2015年8月発行)。ツチノコ写真は未掲載。
文:多喜田昌裕 (ミステリーニュースステーションATLAS編集部)