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20万ドルが何者かに盗まれた…レジェンド「レッド・ツェッペリン」謎の強盗事件

レッド・ツェッペリンは、1968年から1980年まで活動していたイギリスのロックバンドである。1970年代には、60年代のビートルズに匹敵するほどの影響力を有していたと言われており、現在でも「最も売れたアーティスト」の一つに数えられるほか、ハードロックやヘヴィメタルの先駆的役割を果たし、音楽業界そのものに多大な影響を与えた。

豪快と呼ぶにはあまりにも規格外なエピソードに事欠かないバンドとしても知られている。特にロード・マネージャーであったリチャード・コールとドラマーのジョン・ボーナムに絡む話は尽きない。

ホテルの一室を貸し切って乱痴気騒ぎをしていたところに熱狂的ファンの少女を部屋に呼び込み、裸でベッドに括りつけてたかと思うと、実際にその時釣りをして手に入れたレッド・スナッパー(タイの一種)を彼女の陰部に差し込んで女体盛りを始めたという、通称「サメ事件」と呼ばれるとんでもない騒動まで起こしたほどだ。

このほか、ホテルの廊下をバイクで走り回ってカーペットの弁償で1万ポンドを支払った、東京ヒルトンに宿泊した際には二人が日本刀を振り回して部屋をズタズタに切り裂き以後出禁となってしまった、などまさにクレイジーを体現させたエピソードと言えるだろう。

結果として、最も暴れ、最も酒癖の悪かったボーナムが、その酒が原因で命を落としたことでバンドは終焉を迎えることになってしまったが、一時代を築くどころかこんにちに至るまでその影響力は衰えておらず、伝説のバンドと呼ぶにふさわしい存在であったと言えるだろう。

そんなレッド・ツェッペリンにまつわる騒動で、最も不可解とされる出来事がある。

事件は1973年7月29日、ニューヨーク市でのツアー中に彼らがドレイクのホテルに滞在していた際に起った。

マディソン・スクウェア・ガーデンでライブ中、ロード・マネージャーであったコールはそのホテルの金庫に20万ドルを保管していた。しかし、午後7時ごろに彼が再び金庫を確認しに行ったところ、そこには20万ドルが跡形も無く消失しており、パスポートが5枚置いてあるだけであったという。

この当時の20万ドルは現在で110万ドル、日本円でおよそ1億円を超えるほど高額な資金であった。これによって緊急記者会見が行われ、即座に捜査が行われた。

この時、最も疑いの目を向けられたのは、唯一金庫へアクセスできたというコールであった。取り調べや指紋採取、うそ発見器などを通して白と判定されたものの、それでも彼は終始第一容疑者として疑われ続けたという。

第二に疑われたのは、レッド・ツェッペリンのメインマネージャーであったピーター・グラントであったという。『レッド・ツェッペリン:ザ・バイオグラフィー』(2021)の著者であるボブ・スピッツは、本書において「関係者5人がグラントを現金盗難の犯人であると認めていると筆者に語った」と記しているものの、現実に決定的な証拠が確認されているわけではない。

結局のところ、この20万ドル強奪は未解決事件のまま今日に至っている。

だが、大々的なスキャンダルとして報道される一方で、当のレッド・ツェッペリンのメンバーたちはというと全く苦悩する様子は無かったそうだ。

その最大の理由は、20万ドルという金額が彼らにとって莫大な財産のほんの一握りでしかなかったからだ。この事件は、ロック史上最も謎めいた事件でありながらも、同時にある意味で彼らの豪快さをさらに補強させるに過ぎなかった出来事であったとも言えるだろう。

【参考記事・文献】
結末は大惨劇!?レッド・ツェッペリン、規格外の暴走エピソード
https://tabi-labo.com/282682/ledzeppelin
レッド・ツェッペリンのホテル強盗の背後にある謎
https://jacyou.com/society/yosuke/835720/the-mystery-behind-led-zeppelins-hotel-robbery/
レッド・ツェッペリン、73年にホテルで盗まれた20万ドルについての物語が短編映画化?
https://rockinon.com/news/detail/90207
レッド・ツェッペリンが残したクレイジーすぎる伝説の数々
https://therakejapan.com/issue_contents/look-at-the-who-they-used-explosives-how-did-we-get-the-rep/

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【文 黒蠍けいすけ】

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