UFO・UMA

日本で紹介されたアメリカンUMA「スクリュー尾のガー助」創作・捏造の顛末

アメリカ合衆国モンタナ州にあるフラットヘッド湖にて、19世紀から目撃されていたという謎の未確認生物がいる。現地では、そのまま「フラットヘッド・レイク・モンスター」と呼ばれる他、「モンタナ・ネッシー」、現在では「フレッシー」などという名で知られている。

ネッシーの名を有してはいるものの、形状としてはシーサーペント(巨大海蛇)のようなものであるとの目撃例があり、またその目撃例については現在も衰えることなく報告されているという珍しいUMAとなっている。一説には、湖に住んでいるチョウザメではないかとも言われているが、最古に目撃された頃にチョウザメは当湖に生息していないといった意見もあり、現在もまだ正体は不詳のままであるようだ。

このモンタナネッシー、日本では「ハーキンマー」あるいは「スクリュー尾のガー助」という非常にユニークな名前で紹介され、また書籍において写真付きで紹介されるなどかなりのインパクトを与えるUMAとなっていた。

読者に衝撃を与えた「ガー助」の名とその写真は、1972年に小学館から発刊された『なぜなに世界の大怪獣』という子供向け書籍によって広く知られ、当時の読者であった子供たちの記憶に刻み込まれたようである。その写真は、湖面から体を出す首の長い、そしてカモノハシのように突き出たクチバシが特徴的な怪物が写っているものとなっており、湖で釣りをしていた人物によってカメラ撮影されたものであると紹介されていた。

実は、日本で初めて紹介されたのはこれよりも10年前の1962年に発行された『SFマガジン9月号』であった。斎藤守弘による連載『サイエンス・ノンフィクション』第10回「恐龍は現存する?」にガー助は初めて紹介されていたのである。

実のところ、「スクリュー尾のガー助」なる名称は日本で名付けられた名前であり、「ハーキンマー」といういかにも現地の呼び名と思われる名称も日本製であった。当時、海外情報の入手が非常に困難だったこともあり、勘違いや交錯も多かったと考えられている。

「スクリュー尾のガー助」という名前は、本来家畜やペットが持つブタのようにねじれた尻尾のことを表す「screw tail」に、「ガー」という鳴き声と日本的な名称である「助」を加えたものとなったと考えられる。また「ハーキンマー」という名称も、斎藤が通称だと思ったワードをそのまま採用したものであったようである。

因みに、斎藤は自身の著作にて紹介する際はほぼ「スクリュー尾のガー助」という名前で記載していたが、『なぜなに世界の大怪獣』をはじめとした媒体においては「スクリューのガー助」という尾を省略した形で紹介されていることが多い。

名前からして全く現地の呼び名ではないガー助であるが、それではあの写真はどうなのかというと、1963年6月30日版『ザ・スポークスマン・レビュー』という米国地方紙に掲載されたものであることがわかっている。

しかも驚くべきは、「ビル・ニクソン夫人によって作られた写真をいくつか掲載する」という一文が添えられ、先のカモノハシのようなクチバシの怪獣写真のほかいくつかの怪獣と思しき写真が数枚掲載されているのだ。要するに、フラットヘッド湖の怪物と称したトリック写真であることを、最初からことわった上で紹介していたのである。

日本において、「スクリュー(尾)のガー助」「ハーキンマー」という現地の呼び名として紹介された名称、その実物として公開された写真、いずれも捏造であったということになる。

ただし、モンタナ・ネッシーといった呼び名で、現地のフラットヘッド湖で謎の生物が目撃されているということ自体は事実であるという。こうした事情は、そのような時代であったと言ってしまえばそれまでかもしれないが、創作した名称や偽写真と同時に、その発信にまつわる事情や展開についても強く印象を残させる一件であることは間違いない。

【参考記事・文献】
モンタナネッシー Part1~「スクリュー尾のガー助」はいかにして誕生したのか!?
http://uma-world-tour.seesaa.net/article/442610827.html
スクリューのガー助
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/25604.html
The Flathead MONSTER
https://news.google.com/newspapers?nid=1314&dat=19630629&id=uLNWAAAAIBAJ&sjid=0-gDAAAAIBAJ&pg=5249,4599357

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【文 ZENMAI】

画像 1963年6月30日版『ザ・スポークスマン・レビュー』記事から切り抜き