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「コスタリカの石球」大小200の様々な球体の石は何のために存在するのか?

コスタリカの石球は、1930年代初頭にコスタリカ南部の密林で発見された石製の球体である。バナナ農園の開墾のために行なわれた伐採の際に、草木の中から次々と見つかった石球は現在までに200個以上が発見されており、大きさについても直径2センチメートルから2メートルを超えるもの、25トンもの重量を誇るものまである。

1940年にアメリカのピーボディ博物館のサミュエル・ロスロップらの調査により、石球は、主に花崗閃緑(かこうせんりょく)岩を素材に削って作られており、斑糲(はんれい)岩、石灰石などのものもあることがわかった。花崗閃緑岩とは、文字通り花崗岩と閃緑岩の中間にあたる石であり、地下深くで時間をかけて冷えて固まった深成岩であることから非常に高い硬度を持ち、日本でも鳥居や城の石垣などで多く使用されている
石球の年代については、紀元前200年から後1500年ごろとされており、しかも自然に形成されたものではなく人為的に作られたと考えられている。その理由はいくつかある。

まず、素材となっている花崗閃緑岩は、発見場所から48キロメートルほど離れたディキス川河口付近でしか採取されないものであるということ、そしてその形状が真球に近い状態で滑らかに研磨されていること、といった点だ。

このうち球状に仕上げるということについては、当時の技術では不可能であったと述べるものもこれまであったが否定されつつある。製作法については、枝と縄で作った弓状の工具を使用し、砂を溶いた水で長時間に渡って研磨したものではないかと実験などによって見いだされ、当時でも十分に可能であったとする意見が強い。

ただ、先に言った開墾の際に邪魔なものとして他所へ運ばれたり人へ売られたりしたこと、一時期石球の中に黄金が隠されているとの噂が立ったことで破壊されるといった例もあったことから、何の目的で作られたかの究明については少々ややこしい事態となってしまっていたのも事実である。

仮説では、コスタリカ国立博物館のルイス・ゴメス博士が、この石球は天体を表現するために配置されたのではないかとの説を唱えた。これに関連するように、石球は東西に並べた暦の役割を示していたのではないかとも言われている。この他、首長あるいは権力者の富と力を象徴するものとして置かれたものではないかとするものもあり、いくつかの意図をもって製作・設置されていたのではないかと考えられている。

さらに、作ったのは誰なのかという点については、4~9世紀に発見地の周辺に栄えたとされるディキス石器文化を築いた人々ではないかとも見方があり、またその末裔を思われる先住民には、石球には精霊の力が込められており、自然界と死後の世界の交信に必要であったという儀式的な役割を示す言い伝えが残っているそうだ。

日本にも、山梨県のごく一部に丸みを帯びた石、もしくはそれこそ球状に整った石を祀るという丸石神信仰が現在も残されているという。石の球体というものに、何らかの霊力が備わるとする信仰に国境は関係ないようである。

【参考記事・文献】
並木伸一郎『神々の遺産オーパーツ大全』

【オーパーツ!?】1000年以上も前に生まれた”謎の巨大石球”の正体を暴く!
https://topics.tbs.co.jp/article/detail/?id=2593
コスタリカの石球とは?コスタリカの石球について徹底解説 | SPITOPI
https://spitopi.com/blog/20181116161406.html
解明されたコスタリカの石球の正体と謎!オーパーツではなかった?
https://jungle-time.com/tone-costarica-3958/

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【文 ナオキ・コムロ】

画像 ウィキペディアより引用