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怪談好きだった!?幕末の志士・坂本龍馬の意外な一面

 来年は井伊直虎、2018年は西郷隆盛が主人公となるNHK大河ドラマ。幕末期は様々な逸話が多く、大河ドラマを筆頭に多くの作品が作られている。

 そして、NHK大河ドラマ「龍馬伝」(2010年)で坂本龍馬にはまった若い人は多い。かくいう筆者の龍馬マニアなのだが、どのタイミングで龍馬にはまったのか世代によって違う。60代以上は北大路欣也が演じたNHK大河ドラマ「竜馬がゆく」(1968年)で龍馬を好きになり、40代から50代はテレビドラマ「幕末青春グラフィティ Ronin 坂本竜馬」(1982年11月16日 日本テレビ放送)や、映画「幕末青春グラフィティ Ronin 坂本竜馬」(1986年1月25日公開)で武田鉄矢が熱演した龍馬にハマった。また、漫画やアニメで愛された「おーい、龍馬」から龍馬マニアになった者は30代が多い。




 このように坂本龍馬はほぼ全世代から愛される志士だが、90代以上になると幕末の志士の代表と言えば、龍馬よりも西郷隆盛である。

 現在のように龍馬が有名になったのは司馬遼太郎が小説に描き、その活動を美化したためであり、戦前生まれの人にとって龍馬は西郷に比べ、小物という印象が強いようだ。筆者も50歳となった今、経営者・組織のトップとして西郷の器の大きさに感銘を受けつつある。

 龍馬研究は日々進んでいる。「寺田屋事件」で手を負傷した龍馬が、妻・お龍と共に鹿児島に行ったのは日本初の新婚旅行として有名だが、この旅行に同行した少年の証言によると、龍馬は「おりょうさん」と呼んでいるにも関わらず、おりょうさんは「龍馬!!」と呼び捨てにしていたことが判明しており、”かかあ天下”であったことが確定している。

 この事実を聞いて龍馬に共感した皆さんは、筆者や龍馬と同じ境遇の同志である(笑)




 しかも、泊まった鹿児島の温泉が閉鎖されたり、事件現場の寺田屋が当時のものではなく、明治期に建て替えられたものであることが判明したりしており、研究成果の進捗は激しい。

 また、寺田屋のお登勢と言えば龍馬も母と慕い、妻のおりょうを匿ってもらっていた事実もあるが、お登勢の娘・殿井力〔とのいりき〕が明治初年に、伊藤痴遊に龍馬や中岡慎太郎の思い出を語っている。その時のインタビューが『伊藤痴遊全集』17巻所蔵の記事『坂本龍馬と中岡慎太郎』(平凡社/1930年)であり、そこで龍馬が雨の日、力に怪談を語ったという証言が掲載されている。

 『今日は雨が降るから、私(龍馬)が一つ、怪談噺をやろう』

と言って怪談を龍馬が語って聞かせたというから楽しいではないか。

(山口敏太郎 ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)

坂本龍馬