最近、カリフォルニアの海水浴客によって、地震との関連が民間伝承されているという珍しい巨大な「終末の魚」が発見された。
奇しくも、そのわずか2日後にこの地域は地震に見舞われた。
カリフォルニア大学サンディエゴ校スクリップス海洋研究所が発表した声明によると、その魚は体長3.7メートルの「リュウグウノツカイ」(Regalecus russellii)であり、1901年以降に同州で打ち上げられた20匹目のものである。深海に生息しているため、人の目に触れることは滅多にないが、日本の民間伝承では災いの前触れとしても知られている。
研究所の博士課程の学生であるザッカリー・ハイプルは、「この世の終わりを告げる魚、あるいは津波や地震などの不吉な前兆だと考えられています」とライブサイエンスに語った。
このリュウグウノツカイは8月10日にサンディエゴ近くで打ち上げられ、2日後の8月12日に、マグニチュード4.4の地震がロサンゼルスを襲った。だが、この両者が関連しているかと言えばそうとも考えにくい。
ハイプルは、米国地震学会の会報誌『ブルティン』に掲載された2019年の論文を引き合いに出し、この魚の目撃および地震の発生については迷信であると断言した。
「それぞれに相関関係は無いようです。だが、時代を通じてリュウグウノツカイと人類がどのように関わってきたかについて知るには、非常に興味深い情報であると思います」
フロリダ自然史博物館によると、リュウグウノツカイは11メートルに成長することがあり、海の怪物に関する古代の物語にインスピレーションを与えた可能性があるという。世界中の海で数千フィートの深さまで生息し、オキアミや甲殻類を濾過して食している。
そんな巨大魚が、なぜサンディエゴに打ち上げられたのかは不明である。その日、現役と元海洋科学者のグループがたまたまサンゴ礁でシュノーケリングとカヤックを楽しんでいた。
そのグループの一員であったカリフォルニア・シー・グラントの研究員エミリー・ミラーは、一般の人から銀色の光沢のある魚の話を聞いたとき、「当惑した」という。
「その日の視界は最高ではなかったのですが、リュウグウノツカイの反射率の高い表面は、水中でも鮮やかに輝いていました」とミラーは語った。
その魚はサンゴ礁の底近くにいたので、ミラーはそれを海面に押し上げ助けを求めた。「私はすぐに、この魚が非常に重要な研究対象であり、近くの研究機関や機関の研究者がこの魚を採集したいと思っていることを知りました」と同氏は補足した。
このサンゴ礁は保護区域にあるため、研究者たちは魚の撤去許可を得てから、一般の人たちと協力して巨大なその生き物を岸まで運んだ。
「まるでクリスマスの朝のようでした。こんなことはめったにないことです」とハイプルは言う。
リュウグウノツカイは、アメリカ海洋大気庁(NOAA)の施設に運ばれ、より詳細な調査のためにサンプルが採取された。声明によれば、死因は不明だが状態は良好であったという。
ハイプルは深海魚の進化を研究しており、DNAサンプルから、なぜリュウグウノツカイがこのような奇妙な外見に進化したのかが解明されることを期待している。
「このリュウグウノツカイを保存できたのは本当に素晴らしいことです」と彼は語る。
画像&動画 CBS 8 San Diego / YouTube
【文 ナオキ・コムロ】