富山には「センポクカンポク」という少し変わったカエルの妖怪に関する伝説が残っている。
越中国の東礪波郡利賀村(現・富山県南砺市)に伝わるもので、大きなヒキガエルに似ているが顔は人間の顔をしているという。
普段は家の床下に潜んでおり、めったに表にでてこない。しかし、その家から死人が出ると死んだ人のもとに姿を現し、亡くなって一週間後には大戸の外で番をするような姿をみせる。
そして3週間ほど家にいて、4週間目に墓場へとおもむき亡くなった人の魂を墓場へつれていくとされている。つまり、死者の霊魂の番人であり魂の道案内をする存在だと考えられていたようだ。
ちなみにこの地方では大きなカエルのことをカサゴットの神、テンテンゴットの神と呼んでいる。カサやテンテンとはイボやかさぶたなど皮膚にできるものを、ゴットはカエルを意味する方言だという。
人間が死に頻しているとき、この神の名前を呼ぶと妖術で助けてくれるとも言われている。
蝦蟇は他のカエルとは違い、不思議な力を持っていると考えられていた。動物や人間の精気を吸い、動けなくさせて飲み込んでしまう、など様々な伝説が存在している。
また、病人が出る家は湿気が多く、蝦蟇が出てくる事も多い。そこから人の魂との関係が連想されるようになったのではないだろうか。
(山口敏太郎/田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)