今から約30年近く前、世の中はバブル景気に涌いていた。
華やかな出合いと、派手な結婚式人々は一時の享楽にふけっていた。
ある日、港区の某交差点での車輌が複数巻き込まれる大事故が発生した。この事故では多くの方が亡くなったり、怪我をしたりした。そして、その中でも結婚直前で事故に巻き込まれたモデルの女性の悲劇が周囲の涙を誘ったという。
「幸せになるんだ。私」
それが口癖だったその女性は、結婚式の打ち合わせのかえりにこの事故に巻き込まれたらしい。事故の為、破片が顔に無数にささり、美しい顔を失った女性は日々落ち込んでいたという。
「でも、私には支えてくれるあの人がいるわ」
そんな状況でもはや女性の頼れるものは、婚約者だけであった。しかし、その婚約者にも婚約を破棄され、女性は失意のどん底に落ちてしまった。
(もう、私に生きている意味はないわ)とうとう女性は、病院で自殺してしまった。
それ以来、その病院では毎夜、寝ている女性患者の顔をみながら、ブツブツと、つぶやく女の幽霊が出たそうです。
「この顔でもない、この顔でもない」
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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