小豆婆、ないしは小豆とぎ婆は主に北関東を中心に広い範囲で目撃証言が残っている妖怪である。
小川や井戸など、水にちなんだところに出没し、小豆をといだり鍋の豆を掻き回すような音をたて、奇妙な歌を歌うとされた。特徴に類似点が多いため、小豆洗いの伝説が伝わってくるに連れて変化したものではないかと考えられている。
小豆洗いとの相違点として、小豆婆の場合は「子供をさらう」という特徴が付け加えられていることが多い。昔の人は子供の夜遊びなどを戒めるために、「しつけの妖怪」として子供に危害を加える妖怪を語り聞かせていたと言うこともあり、小豆婆もこの教訓妖怪のひとつではないかと考えられている。
変わったところでは山梨県北杜市に伝わる小豆婆は神社の大木に棲み、樹上から「小豆おあんなすって(小豆を食べていきなさい)」と声をかけ、驚いている人間を大きなざるですくい上げるという、釣瓶落としに似た妖怪として伝わっている。
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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