2015年に番組放送50周年を迎えた長寿演芸番組「笑点」。誰もが一度は聴いたことがあるメロディと共に、日曜日夕方の定番として老若男女から親しまれる番組だ。
2018年7月に初回放送から出演していた最後の一人である桂歌丸が死去、2024年3月に最も長くレギュラーメンバーをつとめた林家木久扇が勇退するなど、近年においても大々的に話題となっていた様は、その歴史の長さを如実に語っている。
笑点には、長寿番組ならではのエピソードが事欠かないが、失態によって降板してしまったというしくじりを持つ元メンバーもいた。
三笑亭夢之助は、1977年8月28日から79年9月2日まで大喜利メンバーの一人(当時ピンク色担当)として出演していた落語家である。答えの良さより一発ギャグのような笑いを重視する芸風で湧かせ、わずか2年という短期間であったものの座布団10枚は3度も達成した。
笑点メンバーとしては、三遊亭楽太郎(のちの6代目円楽)と共に戦後生まれで最初の大喜利メンバーとなった。因みに、現在までに20代でメンバー入りを果たした例としてもこの2人のみとなっている。
落語以外においても、テレビ・ラジオ番組の司会あるいはレポーターとして広く活躍して人気を博したものの、近年では肺気腫を患ったことに起因して2019年には完全に廃業しているという。
さて、先に触れたように彼は笑点のレギュラー出演を降板に追い込まれたことがあった。
当時は、「真打になるための修行」という説明が視聴者へなされていたというが、実際は彼の芸風に起因していたと言っても良いだろう。
笑点の大喜利コーナーと言えば、はじめにメンバーの自己紹介を順に行なっていくのが通例だ。ある時、彼は自分の挨拶になった際に「市販の薬はあまり効かない」と発言し観客を笑わせた。
ただ、この発言が良くなかった。笑点の番組スポンサーであるのど薬などの市販薬を販売する製薬会社「龍角散」が、「市販薬が効かない」という彼の発言に激怒してしまったというのだ。
一説には、龍角散のライバルである市販薬会社のCMに出演したために逆鱗に触れたという話もあるようだが、いずれにせよスポンサーの怒りを買ってしまったことが降板に追い込まれる要因となってしまったということでは一致している。
スポンサーという存在の強さを改めて実感させられる話だ。
【参考記事・文献】
【放送事故伝説】収録中に失言!スポンサーを怒らせて降板した笑点メンバー
https://npn.co.jp/article/detail/28015754/
三笑亭夢之助
https://dic.pixiv.net/a/%E4%B8%89%E7%AC%91%E4%BA%AD%E5%A4%A2%E4%B9%8B%E5%8A%A9
【アトラスラジオ関連動画】
【文 ZENMAI】