これは私が中学三年生あたりの話です。
私たちの家ではラブラドールレトリバーを2匹を飼っており部活が休みの日にはよく近所を散歩させていました。
あれは、梅雨が明けた頃の5月後半か、6月頭あたりだったと記憶しています。飼い犬の2匹を学校から帰って来てすぐに散歩させていた時です。
いつもの散歩コースを変えてみようと先祖に挨拶がてら沖縄特有の亀甲墓に向かって歩いていました。亀甲墓に到着し、ウートートーをしたあと亀甲墓の後ろが森になっているのですが何を思ったか当時の私はこの森を抜けて家に帰ろうと思ってしまいました。
親父の話ではこの墓の後ろの森を抜けると叔父の家に着くと幼い頃聞いた記憶があったので、犬も居るし大丈夫だろう、と思い森へ足を踏み入れました。
実はこの森はグスク(城)跡であり所々城壁の残骸や当時の物かわからないですが陶器の破片などが見受けられました。
ずんずんと森を進んで行くと飼い犬が2匹同時に立ち止まり唸っていました。
私はハブが出たのかと内心ビクビクしていましたがゆっくりと犬も一緒に犬が唸って吠えていた場所に近づいて行きました。
しかし、そこには深そうな縦穴しかありませんでした。井戸の跡なのかな~と思い縦穴を覗き込んでも草が生い茂り下まで見えません。
飼い犬2匹はずっと吠えていたのでここで止めて引き返しました。
ラブラドールレトリバーは比較的温厚な犬種なのでこの2匹がここまで何もない所に吠えるのが不思議で森を抜け家へ帰宅しました。
ここで私が体験したこの不思議な話は終わりなのですが、前回も述べた通り私は沖縄戦の歴史を調査し体験談を市町村史にまとめる仕事をしていたのですがその時に私の部落(※沖縄では村や集落の事を村を部落と呼ぶ所が多いです)についての証言を纏めていて当時、日本兵として沖縄に派兵された内地の男性の証言を見つける事が出来ました。
そのお話と言うのがこの男性は浦添の戦闘で負けズルズルと南部に数名と撤退してきたらしいのですがその際に近くに艦砲射撃か空襲があり撤退してきた数名のうちの三人が亡くなってしまったらしいのです。
その際に、このまま死体を置いていけないと男性は思ったらしく仲間を引きずり亀甲墓の後ろの森にある縦穴に仲間を放り投げ生きて絶対に迎えに来てやると言って摩文仁の方まで逃げ終戦まで生き残ったと証言していました。
そして、その際に仲間を放り投げた縦穴こそ、犬が唸って吠えていた場所だったんです。
(アトラスラジオ・リスナー投稿 OCさん ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
Adrienn MolnarによるPixabayからの画像