日本におけるUFO・宇宙人遭遇事件と言えば、筆頭としてあげられるのは介良事件、甲府事件、仁頃事件だろうか。
これらの事件は、いずれも70年代に発生したものであり、UFOの捕獲、宇宙人との遭遇、アブダクションなどインパクトの強さで今なお語り継がれる。だが同じ70年代に、これら以上に奇妙かつ強烈なインパクトのある出来事であるにもかかわらず、ほとんど聞かれることのない事件があったことはご存じだろうか。
1974年9月2日。静岡市在住の長距離トラックドライバーであるF氏は、その日、静岡から積み荷をして四国の高松に向かって走行していた。当時は本州と四国をつなぐ瀬戸大橋が無かったため、岡山の宇野港からフェリーで高松に渡ることになっていた。
その日の夜間。走りなれた国道30号線を走行し宇野港まであと数キロと迫った峠道でのこと、突然F氏の目の前に銀色に輝く物体が出現した。
その物体は土星のような形状をしており近くの岩場に着陸、F氏は奇妙に思いながらトラックをそのUFOと思しき物体の傍に停車させた。すると、UFOの中から髪の長い人物が現れ、そのままトラックの助手席に乗り込んで座ったという。
その人物の姿は、頭に角のような突起を持ち、両目以外はマスクで覆われているという奇妙なものであった。F氏によると、性別はわからないが髪が長かったため女性だと思ったそうだ。直後、機械的な声で話し始めた彼女の口から出た話は、驚くべき内容だった。
「頭の調子が悪いので取り替えて欲しい」
彼女はF氏に同じような頭部を差し出し、さらに次のように付け加えた。曰く、彼女の首の少し下と左右の肩の計3カ所にボタンがあり、そこへ針金を通して首下のボタンを押すと首が外れるから、今度は逆の手順で交換用の頭部を付けて欲しい、と。
F氏は怯えながらも言われた通りの手順で作業を行ない、頭部を外した時や取り付けた時には「ガチャン」と言った音を発していたという。頭部の重さについてはよく覚えていないとのこと。
そして彼女はさらに、自分たちの住む星が他の星と衝突する直前に仲間達と共に宇宙船へ乗って脱出してきたこと、この地球に辿り着いて住みついているということ、地球のエネルギーが強く自分たちは夜しか活動できないことを説明し、そして今後F氏との再会を約束した。
意識が朦朧とした中でやりとりをしていたF氏が、ふと我に返った時は既に宇野港のフェリー乗り場の近くにおり、また到着予定時間にも全く狂いがなかったのだという。
F氏によると、帰宅後興奮した様子で奥さんや子供たちにこの「宇宙人の首すげ替え」の出来事を話したようだが、疲れでいよいよ頭がおかしくなったのかと思い殆ど真面目に取り合うことはなかったという。さらにF氏は、この事件から数ヶ月後には岡山の三石でトラックを走らせていた際、あの彼女と思しき存在を目撃したものの会話を交わすといったことは無かったという証言もしているという。
この事件は、F氏ただ一人の証言しか無いため、高速道路を走行中に眠気を催すハイウェイ・ヒプノーシス(高速道路催眠現象)の一種を体験したことによる幻覚ではなかとの考えも否定できない。ただ、UFOの目撃、宇宙人との接触、そしてその宇宙人の頭を挿げ替えたという一連の内容は、日本UFO史の中でも他に類を見ないほど特殊な例と言っても良いのではないだろうか。
その特殊さゆえか、非常にマイナーな部類として置かれてしまっているのは残念である。
【参考記事・文献】
世界初!!宇宙人の首をすげかえた人!!~「宇野事件」
https://ameblo.jp/to7002/entry-12554792282.html
【文 ナオキ・コムロ】
Guren-The-ThirdeyeによるPixabayからの画像