あれは今から30年近く前の事です。小学生の私は、そろばんの塾に自転車で通っておりました。
親が算数が得意に成るようにと入れた塾で、私は嫌々仕方無く通っていたのですが、ある日その嫌々気分をちょっとだけ解消するものを見つけました。
塾へ通う道の途中、川が有り橋を渡って行くのですが、その橋の脇の土手から河原へ降りる道があり、調度、橋の真下に猫の親子が住んでいるのを発見したのです。
母猫と三匹の子猫は、ダンボール箱で暮らしていたので、誰かが捨てたのでしょうか。
一人っ子で動物好きの自分は、その人懐っこい猫達に餌を持って会うのを楽しみに週二回塾へ通いました。
猫達を発見してひと月程経ったある日、その日も私は塾の帰りにいそいそと河原へ降りて行ったところ子猫が1匹見当たりません。
そして、母猫と残りの子猫はあんなに人懐っこかったのに、とても怯えている様子で私に近づいて来なくなったのです。
見当たらないコは一番小さい子猫だったので、弱ってしまったのか?それとも誰かに虐められたのか?いろいろ考えましたが、近付かないので仕方なくキャットフードを欠けた皿に入れて帰りました。
翌週になって、また帰りに寄ろうと塾の行きがけに思いながら、橋の中程でふと土手を見てみると、あの猫達が川の水を飲んでいるのが見えました。
その様子が何だかおかしいのです。ちょっと水を舐めては直ぐに川から離れる、を繰り返すのです。
何してるんだ?と自転車を止めて良く見ようとした途端、バシャバシャっと身体を軽くくねらせた何かが水際にいた子猫をバクっとひと飲みして直ぐまた身体をくねらせながら水に戻って行きました。
子猫とはいえひと飲み出来るその何かは、ちょっとした杉の木の幹ほどの太さ大きさに見え、色は青みがかった黒っぽいグレーのヌメヌメしたオタマジャクシに見えました。
手足は無いように見えました。
とにかく、ビックリしてパニックだったのですが、頭の片隅で怯えの原因はあれか、と妙に冷静に納得しました。
河原へ降りて確かめたかったのですが、塾へ行く時間が迫っていたし、もしワニなどだったら怖いのとでその時は降りず、帰りに恐る恐る寄ってみました。
しかし、既に親子の姿は無く、次の日とその次の塾の際と、何度か立ち寄りましたが猫は居ませんでした。
勿論、アレが怖いので川岸には近寄らないようにしました。
その場が危険なので余所の場所へ移ったのか、それとも”何か”に襲われてしまったのか。
キャットフードだけを置いていたので、水も一緒に置いておけば助かったのかもと、今でも後悔しています。
この目で見たのに、現実味の無いショッキングな出来事だったので、その通路は通る気になれず、暫く通学路に有る川の水音にもドキッとしていました。
特にそれ以降、人間が襲われたなどの話も聞かない河口近くの普通の川の出来事でした。
アレは一体何だったのでしょうか?アトラスラジオを聞き返して、ウナギの化け物やスイレン?の話を聴いて思い出した昔の思い出です。
今思うとあれは巨大なうなぎだったのかもしれません。
(アトラスラジオ・リスナー投稿 ひじきさん ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像 鳥のメッセージ photoAC