UFO・UMA

目撃情報あり?有名UMAの正体説も 謎多き古生物「タリーモンスター」

タリーモンスターは、およそ3億年前の古生代の海中に棲息していたとされている古生物である。

1955年、配管工でアマチュアの化石収集家であるフランシス・タリーが、石炭紀後期の化石が多く出土するイリノイ州のメゾンクリーク層で奇妙な姿をした生物の化石を発見、彼の名から取ってタリーモンスターと名付けられた。

「ターリーモンスター」、あるいは学名がタリモンストラムグレガリウム(Tullimonstrum gregarium)であることから「トゥリモンストゥルム」などと呼ばれることもある。

イカのように丸みを帯びた胴体と、触手のように伸びた口、その口先に鋭くトゲトゲした歯があるこの奇妙な生物は、既知のどのような生物とも似ていないということから、長きに渡って分類がなされず謎の生物とされていた。

当初は、軟体動物のようなものではないかと言われていたが、その後より状態が良いタリーモンスターの化石が多く発見されたことなどを受けて、2016年、当時イェール大学に所属し研究していたヴィクトリア・マッコイによって脊椎を持っていたということが判明し、タリーモンスターはヤツメウナギの近縁となる脊椎動物であると発表された。

ところが、2023年になって東京大学大学院の研究によって化石を3Dスキャンをしたところ、脊椎動物の特徴として提示されたいくつかの点に疑問が生じ、また前述のヤツメウナギとは軟骨の形状が全く異なっていることも判明した。このため、やはり脊椎動物ではないという可能性が浮上し、タリーモンスターの正体はいまだはっきりとはしていないという。

そんなタリーモンスターは、かつてネス湖の怪物「ネッシー」の正体の一説として唱えられたことがある。ネッシー=タリーモンスター説は1970年代にはすでに登場した。

だが、タリーモンスターの化石から推定される大きさが10~15センチメートルほどであることから、数メートル以上はあろうというネッシーとは比べ物にならないということ(もっとも「タリーモンスターが巨大化した」という主張もある)からも、珍説・奇説のたぐいで扱われているようだ。

これに関連して、タリーモンスターが目撃されたというような事例もあるという。

1988年4月、地元の漁師たちがアーカート湾の南東沿岸に網をおろしていたところ、見たこともない3匹の生物を引き揚げたという。それらの生物は三角形状の尾鰭がついており、胴体は茶色がかった濃い灰色で、ぬめりを帯び光っていたという。

さらに、頭には触覚のような突起物が2本伸びており、口にはノコギリ状の鋭い歯が並んでいた。まるで、一本足のイカのようであったというのだ。その後、科学帳の窓口に一報が入れられると、うち1匹は政府により回収され、残り2匹はアメリカへ運ばれていったとのこと。

ただ、この話についてはライター飛鳥昭雄の著作が出所ではないかとする指摘もあり、実際にこのような出来事があったのかについては疑わしいという意見もある。また、これ以外にも屈斜路湖のクッシーなどいくつかの名が知られる水棲UMAの正体がタリーモンスターとして唱えられることも珍しくない。

未確認生物に対していまだ謎の残る生物が正体の説として採用されるとは実に興味深い事例である。

【参考記事・文献】
「タリーモンスター」は脊椎動物ではなかった? 化石を3Dスキャンで研究
https://lab-brains.as-1.co.jp/enjoy-learn/2023/04/46385/
分類が分からない!エイリアンみたいな古生物「タリーモンスター」の脊椎動物説に反証
https://nazology.net/archives/124946
謎の古代生物タリーモンスターの正体がついに判明
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/031800099/
屈斜路湖のクッシーが鮮明に撮影された
https://chahoo.jp/kusshie_photo/

【文 黒蠍けいすけ】

画像 ウィキペディアより引用