アメリカで活躍する女優であり、宮崎駿監督の映画『となりのトトロ』の英語吹き替え版にて草壁メイ役を演じたことのあるエル・ファニング。わずか2歳8カ月のころ、テレビドラマシリーズにて姉である女優のダコタ・ファニングが演じた役の子供時代の役を演じたことで女優デビューを果たした。
その確かな演技力をベースとした活躍はもとより、スクリーンの妖精、永遠の天使などと称されるそのブロンドヘアや透通するような白い肌という美貌を持つ彼女は、ファッション界からもラブコールが絶えないという。だが、そんな彼女は幼い頃から慢性的なアトピー性皮膚炎に悩まされていたという。
皮膚にひどい痒みを発生させるこの症状は、子供に多く見られているものの一般的には成長と共に改善される場合が殆どである。しかし、成人しても改善されないケースも一部では見られており、体質や遺伝、その他ストレスやホコリのアレルギーなどによるものが原因として考えられている。
2014年、ウォルト・ディズニー創立90周年を記念して製作された映画『マレフィセント』のヒロイン役として出演した彼女は、プロモーションのため共演者のアンジェリーナ・ジョリーと共に来日。その際、ジョリーに対し自身のアトピーを打ち明けたところ、「日本の温泉は皮膚炎に効くのでは」という助言を聴いたという。
それによると、アンジェリーナは以前に日本の温泉を訪れたことがあり、その効果をじかに体感したためにすすめたそうだ。温泉のことを知ったエルは大いに期待を寄せ群馬県の草津温泉へ向かい、期待を抱いて入浴を楽しんだという。
帰国後、しばらくアトピーが落ち着いたことで温泉の効果を実感した彼女であるが、数年後には再び多忙な日々のストレスからアトピーを再発してしまった。悩んだ末に彼女は、かつて草津温泉を訪れた際に耳にしていたある助言を思い出した。
そして彼女が訪れたのは北海道の豊富(とよとみ)温泉。アトピーは乾癬の聖地とも呼ばれている温泉であり、世界的にも珍しい油分を含んだ湯による効能が広く知られている。2週間の滞在期間において朝晩の入浴を欠かさなかった彼女のアトピーは、驚くほどに改善されたという。
日本の温泉が持つ効力を凄さを物語る逸話であるが、実際のところこれが事実であるかどうかは不明である。2014年に、アンジェリーナ・ジョリーと来日をしたことは事実であるようだが、その際に温泉へ赴いたという情報が見受けられないのだ。
2022年、彼女が出演するドラマの独占日本初放送スタートを記念して行なわれた際のインタビューにて、彼女は来日した時のことを振り返っているが、「また行きたくてたまらない」とは言っているものの、全く温泉の話はなされていなかった。
彼女はインスタグラム上にアトピーの湿疹を隠さず「Eeczema but make it eye shadow」(発疹をアイシャドウに)と投稿して話題となったが、この時点においても温泉の話題はなされていない。
上記の温泉に関するストーリーは、動画サイトにおいていくつも類似したものが見られるが、最も古いものでも2024年度に入ってからのものばかりだ。どうやら、比較的最近になって語られるようになったエピソードであることは確かなようだ。
デリケートな話であるため、暗に話していなかったということも万一考えられなくはないが、なんらかのきっかけでアトピーの聖地である豊富温泉と、アトピーに悩まされているという彼女の話とが、つなげられてしまったために生まれたフィクションである可能性の方が高いのかもしれない。
海外の反応という形で日本を賛美するような動画が昨今増えているが、そのような動画の信憑性については少々警戒が必要なのかもしれない。
【参考記事・文献】
エル・ファニングのインタビューが到着! 日本の一番の思い出は・・?
https://www.tvgroove.com/?p=92192
エル・ファニング単独インタビュー「日本の女の子は最高!」 世界が注目するヤングセレブの魅力に迫る
https://mdpr.jp/international/detail/1380846
アトピーに悩むハリウッド女優のエル・ファニングが日本の温泉で湯治した結果…
https://x.gd/Js66L
【文 ZENMAI】
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