タイムトラベル

【昭和の珍事件】ゴミの中に300万円近いダイヤモンドが!?一体なぜ?

※下記は2018年11月の記事の再掲載です。

1935年(昭和10年)3月31日の読売新聞に東京のド真ん中で珍妙な事件が発生したことが掲載されている。

「お百姓にダイヤ 知らぬが悲しさ」

この事件は、2月25日、江東区深川にある埋立地にて、とある農家が1杯5円(現在の約1万円)で農作物に使う肥料ゴミを購入した。

農家が肥料ゴミを天日で干していると、ゴミの中からキラリと光る指輪を2つ発見した。

「おや、これはなんだ・・・」

翌日、農家が埋立地の管理人へ行き、ゴミから出てきた指輪を見せると「ああ。おもちゃだね。」とのことなので、一度は破棄したが「子供は喜ぶかも」と思い直し、家へ持ち帰ることにした。

そして1日、2日経ったある日、農家の家へ屑屋の友人が訪ねてきたので興味本位でその指輪を見せたところ「これは価値のある宝石かもしれない」とのことで、農家は元の5円に3円足した8円(1万6000円)で屑屋に指輪を売ることにした。

そして今度は屑屋が宝石商に指輪を持ち込んだところ、なんとこの指輪はひとつ辺りなんと180円(36万円)はくだらない超高級品であることがわかった。

驚いたのは180円で指輪を買った屑屋で、指輪を拾った農家にその事実を伝えたところ、どうも事情が飲み込めなかったようで「ああ。君の儲けでいいよ」と指輪を譲ってしまったという。

高価なものとわかった以上、落し物という事情もあり、警察へ届け出ることにした。すると、今度はこの指輪がひとつ650円(130万円)のプラチナ入りダイヤであることがわかった。

1万円で買ったゴミが最終的に300万円近い値打ちになるとは、まさに「わらしべ長者」のような話だが、指輪の持ち主は農家から屑屋に移ってしまったために、仮に持ち主が見つからなくても農家に所有権は戻らなかったという。

なお、指輪の持ち主は最後まで見つからなかったそうだが、当時は関東大震災(1923年)によって、人間や家が深川の奥底に眠っており、指輪も当時、深川近辺に住んでいた富豪の家にあったものではないかと推測されている。

戦前に発生した下町のちょっといい話……なのかもしれない。

(穂積昭雪 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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