※下記は2019年3月の記事の再掲載です。
これは今から約30年前の1988年、花見シーズン直前に発覚した事件である。
なんと、日本の某大学の教授が大学に設けられている治験委員会には無許可で40人を超える医学部生を対象に、酒を飲ませて研究中だった二日酔い防止薬の効果を確かめる実験をしていたことがわかり問題になったという事件がある。
事件発生したのは1987年7月某日。
某医学科の教授は製薬会社と組んで二日酔いの防止薬を研究していた。教授は研究の成果を確かめるため、大学の生徒42人を某所のホテルに宿泊させ実験を開始。学生ひとりに研究中の二日酔いの防止薬、ウイスキーのボトル一本を渡し飲食させた。
ところが、実験から3時間後、実験に参加した学生たちは食べ物を吐き出し苦しみ出して数人が気を失う騒ぎとなってしまった。
なお、このような投薬実験には事前に治験委員会に申請を出さなくてはならないが、実験を行った大学の説明によると「今回の実験は病患者への投薬ではなく健康体を対象にした実験だったので(治験委員会)に申請する必要はないと思った」と語っている。
幸い、実験に参加した学生達は命に別状はなかったものの、ひとりは脱水症状に陥り、点滴治療を受けるなどしていたという。現代ではあまり聞かない大学教授による「人体実験」。昭和の終わり頃にはまだ、このような事件も発生していたのである。
※参考文献:読売新聞1988年3月5日
(文:穂積昭雪 山口敏太郎事務所 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)