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流れ星と共に出現する?謎の粘液物質「スターゼリー」の驚きの正体とは

隕石が空中を通過するときにバラバラになるとどうなるか。地球に落下した天体の一部は、半透明のゼラチン状の物質として蓄積され、出現後すぐに蒸発してしまう。

これはSF小説の描写のように聞こえるかもしれないが、実際には長い間人々を魅了し、そして困惑させてきた非常に現実的な物質に基づいている。何世紀にも渡り、英国、欧州、米国各地の人々が、野原や沼地で「アストロミキシン」「スターゼリー」「アストラルゼリー」「星腐れ」などと呼ばれるものを発見してきた。

しかし、それは常に天の産物であると考えられていたが、このネバネバした塊の源は地球上のものであり、そしてやや血生臭いものでもある。

スターゼリーの記述は珍しくない。実際、この物質に関する記述は民間伝承や芸術から博物学に至るまで、さまざまな資料に見られ、一般人と学者の両方から報告されている。ほとんどの場合、誰かが流れ星を目撃した後、野原で未知の物質に出くわす。そのような発見は通常明け方に起こり、発見されたものはたいていすぐに消えてしまう。

13世紀、中世の医師ジョン・オブ・ガデスデンは、彼がステラ・テラ(「地球の星」)と呼んだものを医学書の1つに記載した。彼の著作によると、それは「地面に横たわるある種の粘液性物質」で、膿瘍などの特定の病気の治療に使われる可能性があった。

のちの1619年、医師で神秘主義者のロバート・フラッドは、空から落ちてくる隕石をどのように目撃したかを記述した。彼はその残骸を探し、翌朝、黒い点の入った白く滑りやすい塊を見つけたという逸話が残っており、流れ星であると彼は信じていた。

1656年、形而上学的詩人ヘンリー・モアは、「地上に震えるゼリーのような形で発見されるものは、流れ星が食べたものであり排泄物だ」と説明したという。

20世紀になっても、多くの人々がその物質に出くわしたと報告している。例えば、1983年にマサチューセッツ州レディングで起こったと言われる、ゼリーが空から住民の上に降りそそいだという報告がある。1995年にはイングランドのオックスフォードシャー州の庭でゼリー状の物質が発見されたとされており、「やかん一杯」になるほど大量に存在していたという。

欧米以外でも知られていた可能性もある。1950年代にイギリスの植物学者フランシス・ハクスリーが行なった報告によれば、ブラジルのウルブ族の人々は星が時々空から降ってくると信じており、彼らはジャングルを探検しているときに柔らかい青いゼリーのような物質を発見したのだという。




もちろん、このスライムは実際の隕石や星とは無関係だ。ほとんどの流星は岩石や鉱石でできており、大気圏に突入するとすぐに超高温になる。ゼラチン状の物質がこのような条件で生き残ることはできない。

それでも、スターゼリーが確認されている限り、人々はそれが何であるかを説明しようとしてきた。より自然主義的な説明、つまり星の落下を伴わない説明は、科学革命の最盛期である17世紀に現れ始めた。ロバート・ボイルやクリストファー・メレットなど、王立協会と関係のあるさまざまな人物がこの物質を扱った。

後者は、ゼリーのかけらの中から骨が見つかったことから、菌類か、雄羊の精液のようなものか、あるいは「溶けたカエル」の残り物ではないかとさまざまな人が考えたことを説明している。

メレットは最終的に、このゼリーはカエルの仲間であることが確実と判断し、哀れにも牛に噛まれた姿であることを明らかにした。ジョン・モートンは後に『ノーサンプトンシャーの自然史』で同様の結論に達した。

長年に渡り、シアノバクテリアの副産物であるとか、粘菌の子実体であるとか、鳥や哺乳類が吐いたものであるとか、他の様々な説明がされてきた。しかし、最も可能性の高い答えはカエルであることへ帰結する。

確かに、スターゼリーは捕食者によって引き裂かれ、食べられた両生類の内臓を取り除いたものである可能性が高い。これが起こると、卵子のゼリーが放出され、朝露や雨などの水分に触れると膨張する。

スターゼリーは、天からもたらされた神秘的な物質ではなく、非常に不幸な両生類に関係していると考えられる。それでもこの物質は、人々の好奇心を呼び起こし、またその存在理由を説明するための努力をもたらす。

【文 ナオキ・コムロ】

Photo credit: Shawn Harquail on VisualHunt

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