地球外生命体の探索において我々が求めているのは、地球の生物圏とは大きく異なる世界かもしれない。そのことを科学者たちは知っている。
どれだけ違うのかを正確に知るのは難しい。しかし、私たちの惑星はまだいくつかの手がかりを提供してくれている。地球上のほとんどの生物にとって非常に不便な環境でさえ、生きることができる生物は存在していることからも察することができる。
ところで、植物に相当する”エイリアン”とはどのようなものになるのだろう?
地球上の生命もまた別の可能性を提供している。地球上の生産者のかなりの割合は、生存のために緑色のクロロフィルを含んでいるが、低光条件下で生育する光合成細菌は、赤外線放射を最大限に利用するために紫色に着色する傾向がある。
コーネル大学カール・セーガン研究所の宇宙生物学者、リジア・フォンセカ・コエーリョは、「『紅色細菌』はさまざまな条件下で繁殖できる。そのため、さまざまな世界を支配できる生命の最有力候補の一つとなっています」と語る。
銀河系に存在する恒星の最大75%が赤色矮星であることから、科学者たちは赤色矮星系外惑星に生命体が出現する可能性はあるのか、出現した場合はどのような姿をしているのか、そして最も重要なのは、どのようにして生命体を検出できるのかを推測している。
カール・セーガン研究所は、さまざまな形の生命をカタログ化し、別の世界から見た場合にどのように見えるかを解明する探求を続けてきた。
地球上で植物に最もよく見られる光合成色素はクロロフィルである。これはシアノバクテリアにも見られるが偶然ではない。クロロフィル色素を含む植物細胞の葉緑体は、実は共生シアノバクテリアであり、はるか昔に現生植物の祖先に取り込まれ、宿主の光合成を可能にするために共進化した。
光の条件が異なる星の周りでは、色合いが大きく異なる生命体が同じように優勢になる可能性がある。そこでコエーリョと同僚は、カロテノイドと呼ばれる生体色素を使って光エネルギーを獲得する細菌を20種以上集めた。
これらの生物は赤色光と赤外線を利用して増殖し、植物で見られるものよりもやや単純な集光システムを使用しており、植物やシアノバクテリアが使用しない波長の光を吸収し、酸素を生成しないバクテリオクロロフィルを使用しているという。
研究者たちは、さまざまな細菌の色素を慎重に測定し、地表や大気の条件が異なる異星人のモデルを作成して、どのような姿になるかを決定した。いずれの場合も、バクテリアは惑星に検出される可能性のある強い色合いを生成させた。
細菌の種類にもよるが、カロテノイドは微生物をよりオレンジ色、赤色、茶色に見せる。だが、植物や藻類の多様性が、美しい緑の森や草原、マングローブにぼやけて見えるように、電磁波のスペクトルの奥に広がる寒色は、何らかの形の光合成を表している可能性がある。
つまり、もし別の世界で、この地球の紅色細菌と似た生物学を持つ豊かな生命体が進化したとしたら、それをスパイする手段があるということだ。
カール・セーガン研究所のリサ・カルテネッガー所長は、「私たちは今、身の回りにある魅力的な世界に目を向け始めたところです」と話す。「紅色細菌は非常に多様な条件下で生存し、繁栄することができるため、多くの異なる世界で紫色が”新たな緑”になることは容易に想像できます」と語る。
【文 ナオキ・コムロ】
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