サブカル

鬼軍曹「山本小鉄」、想像を絶する新人育成

画像『山本小鉄の人生大学プロレス学部

山本小鉄は、新日本プロレスに所属していた日本の元プロレスラーである。力道山の最後の弟子となった人物であり、現役時代は人間爆弾の異名を持ってIWA世界タッグ王座の獲得も果たした。引退後は、レフェリーの傍ら新日本プロレス学校の校長を歴任して新人教育にあたり、その特有の根性論は「小鉄イズム」という概念で新日本プロレスに残っている。

新人教育では、そのあまりの厳格さから鬼コーチあるいは鬼軍曹と呼ばれ恐れられていた。彼の指導を受けた者たちから多くの体験談が伝わっている。

前田日明が新人だった頃、入門時73kgであった体重がはじめの1ヶ月で68kgにまで落ちてしまったことで増量しなければならなくなった。1年後には92kgにまで体重を増やすことができたのだが、これは過酷な食事によってなし得た成果であったという。

トレーニング終わりですぐに食べられないような状態でも、山本が見張りをしながら「今何杯目だ?」とプレッシャーを与えてきていたという。どんぶりを山盛りで最低5杯は食べろと言われていた前田は、元々食が細かったこともあり拷問のような苦しみであったそうだ。

こうした山本の指導もあり、道場の外で山本のキャデラックが止まる音を聞くたびに怯えていたという。

山本と食事にまつわるものとしては、初代タイガーマスクとの名勝負で知られる小林邦昭にもあるが、彼は元々大食いであったこともあり、大阪の巡業先から東京へ新幹線で帰る途中、山本が「おごってやるから何でも好きなものを食え」と言われ、食堂のメニューを全て平らげた。これについては、山本が食堂の全メニューを食べるよう小林に言いつけ、小林が見事それに応えたものであるとも言われている。




だが、小林がプロテインを持っていることについて「そんなもんに頼るな」と𠮟り飛ばし、当時非常に高価であったプロテインを小林からすべて取り上げ処分してしまったという。これは、強靭な肉体はトレーニングをたくさんの食事という山本の持論に基づくものであったとされており、実際に山本は筋肉増強剤などに対しては否定的であった。

彼の言うトレーニングも、凄まじいものであった。山本の指導方針は、膝が痛ければスクワット、首が痛ければブリッジをさせるというものであり、口癖は「とりあえずスクワット1000回!」であったという。若かりし頃の藤原喜明は膝の故障を抱える中泣きながらスクワットをし、本気で山本を殺そうと考えたほどに憎んでいたという。後年になって藤原が山本にそのことを直接伝えると、「それだけ厳しい練習をしてきたんだ」と笑っていたという。

これほどに厳格であった山本であったが、現在の前田は彼を親のような存在と語り、また初代タイガーマスクの佐山聡は、自身の道場において礼儀作法がなっていない者に技術を教えないことを方針としており、そのような礼儀は山本から教わったと公言している。

また、真壁刀義は新人時代に先輩たちからの理不尽なシゴキによって練習から外されるほどのイジメを受けていたが、山本からの「誰よりも強くなれ!」という言葉に救われ、大きな転機となったと言う。高田延彦に関しては、乗らないといけない電車を間違えて新日の入門テストに遅刻してしまった時には、本来であれば遅刻というだけで不合格であったものの、その真剣な目つきを見て山本がマンツーマンで入門テストを行なったという逸話もある。

山本の常軌を逸したような教育方針に、多くの新人は悲鳴を上げていたであろうことは想像に難くない。だが、厳しい指導だけではなく、何かトラブルがあれば助けようとするその姿勢は、彼が将来に活躍する最高の選手を生み出そうとするその熱意が本物であったことの証でもあるだろう。

【参考記事・文献】
前田日明氏 新人時代に過酷な毎日の食事…山本小鉄さんからのプレッシャー「最低5杯食べろ」
https://www.sponichi.co.jp/battle/news/2023/09/15/kiji/20230915s00003000519000c.html#goog_rewarded
プロレスラーの食事や酒の量とは?大食い、酒豪伝説!一番食べるのは誰だ?
https://ojisan777.net/?p=3147
「100年早いよ、バカ!」タッキー、たけし…今では考えられないプロレス界の〝拒絶反応〟
https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/68742#goog_rewarded
プロレスラー世界遺産 伝説のチャンピオンから未知なる強豪まで── 「山本小鉄」“人間爆弾”の知られざる名勝負
https://www.npn.co.jp/article/detail/68161125/
猪木、小鉄…プロレス道たたき込まれた/タイガーマスクの40年2
https://www.nikkansports.com/battle/news/202104180000404.html

(黒蠍けいすけ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)