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人形劇「プリンプリン物語」の多くの放送回が失われたわけ

画像『連続人形劇 プリンプリン物語 デルーデル編 vol.5 新価格版 [DVD]

『プリンプリン物語』は、1979年4月2日から1982年3月19日までのおよそ3年間に渡ってNHK総合テレビジョンで放送された連続人形劇である。

放送は、月曜日から金曜日の18時25分から40分までの15分で全656回。『ひょっこりひょうたん島』の流れをくむNHK人形劇のうちの一作で、ミュージカル仕立てとなっており、また主人公がプリンセスであったことから女児の間で絶大な人気を博した。

生後間もなく箱舟に乗せられ海に流された赤ん坊が、漁師たちに拾われてプリンプリンと名付けられ育てられていった。15歳になったある日、箱舟に入っていた装飾品が手がかりになり、どこかの国のプリンセスということが判明した彼女は、仲間達とともにまだ見ぬ祖国と親を探すべく旅に出る。

本作はインド神話「ラーマーヤナ」をモチーフとし、また「西遊記」を意識した構成がとられていると言われている。

仲間や困っている人を思いやる姿とそのために行動する勇気を描き、その一方で単純な勧善懲悪にはなっておらず、時事・政治的なネタをふんだんに盛り込んだ(当時の首相大平正芳をネタにした表現など)、子供向けといえども侮れない内容となっている。子ども目線からの争いに対する嫌悪や悲しみや科学技術に対する懐疑的な描写などから、今の時代だからこそ見られるべきであるという声も根強い作品である。

だが、プリンプリン物語はある大きな事情を抱えていた。それは、放送回の一部が残されていないのである。1970年代前後、当時のビデオテープは1本100万円にもなるほど高額なものであったため、放送後のビデオテープに次の番組を上書きするという使い回しがされていた。

日曜日の夕方に放送される演芸番組『笑点』も同様の事情があり、最初期のOP「笑点音頭」のアニメフィルムを除く1960年代の放送回は一切現存していないのだ。そしてプリンプリン物語も、こうした事情によって日に3分の2に及ぶ放送回が失われてしまっていたのである。




失われた放送回は、一部が欠落しているもの、あるいはまるまる一話残されていないものの2種類あり、のちに再放送された際は、まともに一話見ることのできる回以外では、一部残されていた回の映像をダイジェスト紹介するなどの処置を施していた。

こうした事情から2009年より、プリンプリン物語の全話収録プロジェクトがNHKアーカイブスで開始され、当時の放送を録画・記録したビデオテープをスタッフ、出演者、人形操者、そして一般視聴者からの提供を現在もなお募っている。

募集以降、失われていた、あるいは一部欠落していた多くの放送回が保管されることになった。2018年には、長野県在住の視聴者の実家に母親が録画していた、およそ500話分を録画した24本のビデオテープが提供され、これにより大半の放送回が補完されることとなった。現在、プリンプリン物語は、完全未発掘回1回(第265回)と、一部欠落回5回を残すのみとなっている。

いまだ完全未発掘の第265回が、どのような内容であるかは詳しくわかっていない。ただ、最終回についてはプリンプリンが母親の手紙を発見し、仲間たちと共に”最後”の旅に出るという半ば打ち切りのような終わりを迎えており、当時に視聴した人たちにとっては呆然としてしまう幕引きであったようだ。

それでも、本作は放送当時の社会をふんだんに風刺した描写という側面から見ても、歴史的価値ある作品と言って良いだろう。いつか全話が完全に揃うことを強く願いたい作品である。

【参考記事・文献】
プリンプリン物語
https://dic.nicovideo.jp/a/%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E7%89%A9%E8%AA%9E
プリンプリン物語
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/10737.html
伝説の人形劇「プリンプリン物語」の風刺やパロディに大人になった今、驚く。今夜3、4話
https://www.excite.co.jp/news/article/E1499824675164/
情報求む! 幻の『プリンプリン物語』第265回は見つかるか 発掘が進み「あと1話」
https://magmix.jp/post/131285

(黒蠍けいすけ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)