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大企業を次々に爆破した極左テロ集団「東アジア反日武装戦線」の犯罪

2024年1月25日、1970年代に連続企業爆破事件を起こした新左翼系のテログループ「東アジア反日武装戦線」のメンバーで、全国指名手配されていた桐島聡(きりしまさとし)を名乗る人物の情報が警視庁へ寄せられた。

男性は、末期がんと診断されており29日朝に死亡が確認された。親族とのDNA鑑定により本人である可能性がきわめて高いとするものの、2024年2月上旬現在、本人であるという確定はまだなされていない。

ネット上では、彼が本人であると仮定した上で、およそ50年にも及ぶ逃亡劇の誰も予想だにしなかった結末として、多くの人々の注目を集め話題となった。

東アジア反日武装戦線は、学生運動が全盛から衰退の時期に移行していた1970年代に、当時法政大学の学生であった大道寺将司(だいどうじまさし)が結成した「Lクラス闘争委員会」に始まる。一時期メンバーは100名を超えるほどに膨れ上がったが、全共闘運動や70年安保闘争による”敗北”によって自然消滅した。

大道寺は大学中退後、メンバー数人を集め新たに研究会を結成し、この時に徹底した反日・自虐史観を学習し、また大道寺の出身地である北海道のアイヌに対する贖罪意識も熟成させていった。こうして、反日運動のために武力闘争を展開しなければならないという思想を築き上げていった。

反日亡国論とも称される他に類を見ないほどに過激な思想を有した彼らは、一般市民として社会に紛れ込みながら闘争を行なう地下ゲリラ組織として活動を展開した。71年から自家製爆弾の実験を開始しており、その後「興亜観音・殉国七士之碑」「総持寺納骨堂」「風雪の群像・北方文化研究施設」など、日本の侵略を象徴するモニュメントと見なす建造物を次々に爆破する。

この頃から、東アジア反日武装戦線を名乗り始め、彼らに共鳴した「狼」「さそり」「大地の牙」という小グループが合流していった。




また、彼らの思想はその後「アジア諸国から利益を得て来た」「アジア侵略に加担している」と判断した大企業を対象としたテロにつながっていく。75年5月までに企業6社、計8ヶ所に及ぶ爆破事件を引き起こしており、中でも74年8月30日に起きた「三菱重工爆破事件」は、死者8名、負傷者376名という彼らですら予想外であったほどの大惨事を引き起こした。

この事件は、爆破予告が電話交換手に伝えられていたのだが、いたずらだと判断されてしまい避難行動をとる者が殆どいなかったという。現在、爆破予告による避難や休校などの措置が必ずとられるようになったのは、この事件がきっかけとなっている。

彼らが活動を行なっていた期間中には、昭和天皇の暗殺計画もなされていた。「虹作戦」と呼ばれるこの計画では、東北本線の鉄橋に爆弾を仕掛け、昭和天皇のお召列車を鉄橋もろとも爆破するという予定で進められていた。しかし決行前夜、鉄橋に現れた不審な人物を目撃したグループのメンバーが捜査官と勘違いし、爆破計画は未遂に終わることとなった。

因みに、お召列車は東北本線ではなかったため、たとえ爆破が決行されたとしても昭和天皇は無事であった。

もう一つ欠かせないのは、彼らが地下出版した『腹腹時計』(はらはらとけい)と呼ばれる冊子の存在である。この冊子は、爆弾の作り方やゲリラ戦法を彼ら独自に解説した内容となっているのだが、彼らの思想を批判していた共産党などの左翼活動家たちがのちに教本として使用したり、なんと右翼活動家までにも広まったりしたという。

さまざまな創作作品で登場するなど現代でも特殊なアイテムとしての存在感を示しているようだ。

1975年5月、ついに東アジア反日武装戦線のメンバーが一斉逮捕となった。その後各メンバーは、拘置所で死亡した者や収監・服役中の者、逮捕後に自殺を図った者などがおり、中には釈放後に日本赤軍と合流し現在も国際指名手配中になっている者もいる。

彼らは逮捕されるまで、みな会社員や喫茶店店員など、平凡な市民を装って生活していたという。なお、この一斉逮捕の際、唯一逮捕されずに逃亡していたのが桐島聡であった。

余談だが、桐島聡と思われる人物の死亡が話題となったことで、彼の指名手配写真の隣に配置されていた逃亡犯、指定暴力団幹部の男性も同時に注目を集め、情報提供が相次ぎ翌月1日に身柄が確保されるという珍事が発生している。

【参考記事・文献】
東アジア反日武装戦線
https://x.gd/muHcy
東アジア反日武装戦線ってなに?メンバーの現在は?
https://karilingual.com/higashiasia-hannichi-busosensen-member/#toc1
【わかりやすく】東アジア反日武装戦線とは?目的・メンバーは?
https://ala-table.jp/hannnitibusousennsenn/#index_id1
「いつまで逃亡できるかは本人の我慢と忍耐しだいだ」暴力団幹部が語る“桐島の隣の男”が無抵抗で捕まった理由「逮捕されることが勲章」〈ヤクザの逃亡劇〉
https://x.gd/zyrXJ

(黒蠍けいすけ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像 警察庁ホームページ, CC 表示 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=126750363による

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