画像『ゲゲゲの鬼太郎 70’s1 ゲゲゲの鬼太郎 1971[第2シリーズ] [DVD]』
アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』は、1968年に第1シリーズが放送されて以降、2020年3月までに第6シリーズ、計536回という放送回数を誇るアニメ作品だ。
これほどの話数を有している鬼太郎のストーリーの中には、何らかの訳ありな事情を抱えた回もあり、現在では欠番扱いや修正が施されたというケースも存在している。
代表的な例といえば、1971年からおよそ一年放送されていた第2シリーズ、その第5話に登場した「妖怪あしまがり」であろう。
アニメでは、太鼓を持った信楽焼(しがらきやき)のような狸の姿をしており、酒好きで、取り込んだ相手を消化してしまう雲状の気体生物となっている。この第2シリーズのあしまがりの回は、地上波の再放送では欠番として扱われており、また第3シリーズに登場した際は「狸妖怪」という名で改められていた。
第6シリーズには、実に48年ぶりに「足まがり」という名で再登場を果たしたが、なぜ第2シリーズの回が封印されたかについては公式からも正式に発表されていない。
これは、「あしまがり」という名前が足の不自由な人に対する差別的な表現にあたるという意見が出た、あるいはそう受け取られかねないという懸念から自主規制に至った、といった推測がなされているが、そもそも「あしまがり」という言葉は、四国(特に香川県・徳島県)や淡路島で「歩きづらい」「まとわりつく」「交通が邪魔される」といった意味で使用される方言である。
もしこれが事実であるとすれば、それこそ方言ひいては妖怪の成り立ちや歴史をも否定しかねない差別となるのではないかといった声もある。この回は、ビデオソフトなどで閲覧可能であるという。
妖怪の名称に関する事情は他にも例があり、同じくアニメ鬼太郎では「妖怪チンポ」が名前を改名、あるいは(演出ではあろうが)明確に名前を名乗らせてもらえないといった憂き目にあい、また水木しげるの著作においては「片輪車」(かたわぐるま)が「片車輪」(かたしゃりん)に変更されたというものもある。
さて、鬼太郎にまつわる放送禁止はこの「あしまがり」によるものが有名ではあるが、これ以外にも再放送でカットされた回があると言われている話がある。
それは、第3シリーズで放送された「韓国妖怪ぬっぺらぼう」という回にまつわるものだ。
この話は、韓国の少年が鬼太郎へ助けを求めるところからはじまり、少年の村が妖怪に襲われているとのことから鬼太郎と仲間たちが韓国へ乗り込み退治する、といった内容となっている。
この放送回は、再放送でカットされていたという噂があり、その理由は「鬼太郎が仲間を連れて韓国に上陸するさまが、日本軍による韓国侵略を連想させる」といったものであると言われていた。ただし、この話については先の「あしまがり」のような放送に配慮された痕跡は特に見られていないとも言われている。
何より、地方局などの場合であれば、再放送が本来の放送順通りではなかったり、局の都合で突如打ち切られたりといった事情もよく見られるため、真偽の確認が難しいとされているのが現状である。
いずれにせよ、この韓国妖怪の回が放送禁止になったという話は、都市伝説のレベルであるとも考えられる。ただし、必ずしもあり得ない話ではないとさえ思えてしまうところが恐ろしいところでもある。偏見や悪意による表現であれば確かに問題ではあるが、過剰反応による封印あるいは封殺がなされてしまうという事情については、今後も大きな課題となる部分となるだろう。
【参考記事・文献】
鬼太郎と韓国妖怪
https://x.gd/NUuyR
ゲゲゲの鬼太郎…妖怪の名前を自主規制していた?!
https://wow-media.jp/w00011/
足まがり
https://dic.pixiv.net/a/%E8%B6%B3%E3%81%BE%E3%81%8C%E3%82%8A
(ナオキ・コムロ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)