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ビートルズファンが巻き起こした大騒動?!「ポール・マッカートニー死亡説」

1960年代から1970年にかけて活躍し、20世紀を代表する音楽グループとして知られるビートルズ。現在でも、史上最も人気のあるロックバンドのトップに選ばれ、また唯一の日本公演が行なわれた際は、ビートルズに憧れた若者たちの間で長髪が大流行するほどであった。

音楽史上欠くことのできない存在となっているビートルズであるが、かつて世間を大いに騒がせた都市伝説が存在していた。

ビートルズ時代、ジョン・レノンと共に楽曲の作詞作曲を手掛け、解散後も第一線でミュージシャンとして活躍しているポール・マッカートニー。ポピュラー音楽史上最も成功した作曲家としてギネス記録をも持つ彼は、実はすでに死亡しているという説が存在していた。

この「ポール死亡説」が広まり始めたのは1967年ごろ。ポールが自動車事故に巻き込まれたことをきっかけに、ポールが事故で亡くなったのではないかという噂が広がり始めた。この噂は当時、ビートルズファンによって製作されていたいわゆる同人誌である「ザ・ビートルズ・ブック」において、直後に反論がなされたという。

しかし、その後一大騒動にまで発展した発端は1969年。ラジオ局WKNRにてラジオDJを務めていたラス・ギブが放送内で正体不明のリスナーとの電話のやりとりで、このポール死亡説についておよそ1時間に渡って議論を交わしたことによる。この時、ビートルズのアルバムに収録されている曲を逆回転で聞くと不穏なセリフに聞こえるといったことなども紹介されていた。




この時から、「ポールは1966年に自動車事故で死亡しており、現在は顔のそっくりな替え玉が活動をしている」という噂が大きく拡散されることとなった。この時期のビートルズは活動末期であり、ポール自身があまりメディアへの露出をしていなかったということが噂に拍車をかける結果ともなった。

その後、この死亡説はファンの間で独り歩きを始める。

過去のアルバムのジャケットや収録曲の歌詞から、死亡あるいは事故を暗示しているという解釈が多く取り上げられ、中にはラジオ放送の時と同様に、ある曲の逆再生で不穏な歌詞に聞こえるといったものもあった。

この都市伝説については、公式の広報担当からも否定がなされ、またポール自身のインタビューが雑誌に掲載されたこともあり沈静化はなされた。1993年には、51歳となったポールによってライブ・アルバム「ポール・イズ・ライブ」がリリースされ、かつて取り上げられたポール死亡の暗示に対するアンサーのような描写を盛り込むなどして反撃もなされた。

かつてほどに騒がれることはなくなったポール死亡説であるが、その騒動の規模があまりに大きかったこともあり今でも信じている人がいると言われている。2015年ごろには、元ビートルズメンバーであったリンゴ・スターが「1966年にポールは既に亡くなった」と告白したというニュースがネット上で話題となったこともあるが、これはジョークサイトに記載されたフェイク記事であったことが直後に判明している。

現在でもこのような話が取り沙汰されるほどに、ポール死亡説は根深いようだ。

【考記事・文献】
「ポールは死んだ」音楽業界で最も有名で奇妙な陰謀説の内幕
https://rollingstonejapan.com/articles/detail/32202
ポール・マッカートニー、死亡&替え玉説騒動 ジョークサイトのうそだった
https://www.cinematoday.jp/news/N0071276
ポール・マッカートニー死亡説:ビートルズ末期に流布した噂の全解説
https://rikumalog.com/beatles/paul-isnt-dead.html

(ナオキ・コムロ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

DorotheによるPixabayからの画像