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冷戦状態をさらに悪化させた「レーガン元大統領最大の失言」

アメリカ合衆国第40代大統領ロナルド・レーガンは、1980年代当時まだ冷戦関係にあったソ連に対して、国防費の増額、NATO諸国に呼び掛けての大規模軍事演習、ソ連国民に対し西洋諸国の自由と民主的生活のプロパガンダ展開などによってソ連へ脅威を与え、無血でソ連を崩壊させた大統領として高く評されている。

その一方で、レーガンは同時にハプニングが多い政治家でもあった。大統領就任直後の暗殺未遂のほか、スター・ウォーズ計画といった荒唐無稽な政策、そして、もともと強烈な反共思想を有していたことも相まってソ連を「悪の帝国」と名指しで非難すると言った、ひやりとさせる発言も多かった。

アナウンサーや俳優を経験してきたというレーガンは、失言が目立つ政治家でもあり、その様子はカリフォルニア州知事時代から確認できる。当時ベトナム戦争が泥沼化しており、アメリカ国内でも反戦運動が巻き起こっていたさなか、「ベトナムを焼き払って駐車場にしてしまえ」と言い放ち、たちまち非難を浴びることとなった。こうした発言については、ある種の炎上商法のようなものだったのではないかという見方もある。


そんな彼のもっとも知られる失言は、1984年のある日のラジオ演説の現場で発せられた。サウンドチェック時に彼はスタッフを相手に次のように言った。「アメリカ国民の皆さん、私は今日、ロシアを永遠に非業装荷する法案に署名しました。5分後に爆撃を開始します」

この発言はいわゆるブラックジョークであったが、この時期ソ連との関係が悪化の一途を辿っていた真っただ中であったことが災いした。サウンドチェックであったために放送はされなかったものの、その録音が新聞社などによって発信されてしまい、ソ連との溝が一層に深まる原因ともなってしまい、国内外から批判されることとなった。

ソ連においてはレーガンへの抗議が強く巻き起こり、一時はソ連軍によって極東に警戒態勢が敷かれるまでに至った。なお、この発言はその日に用意されていた演説原稿の冒頭のテキストをもじったパロディであることがわかっている。

彼は毎週行っていたラジオ演説の際、そのサウンドチェック中にジョークを飛ばすことで知られていた。82年には、ポーランドの軍事政権に対して「お粗末なバカどもの集まり」と呼び物議を醸したこともあった。また85年には、死者も出た旅客機ハイジャック事件、トランス・ワールド航空847便テロ事件にて、「次に同じことが起こったらどうすればいいかわかった」といった発言もした。

何かとお騒がせな出来事が後を絶たなかったレーガンであったが、現在アメリカ国内では歴代の中でも人気の高い大統領の一人ともなっている。それは、先のソ連崩壊も含め、何よりレーガノミクスと呼ばれる経済政策によってアメリカ経済の復活を導いたことが大きいと言われている。

問題が多かった大統領とは言え、その評価は結果として景気の善し悪しが最終的に決定づけるということなの証なのだろうか・・・

【参考記事・文献】
マイクがオンだと知らず……歴史に残る政治家のうっかり発言
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-50667673
‘LOUSY BUMS’ JIBE AT POLES BY REAGAN GETS ON THE RECORD
https://www.nytimes.com/1982/10/11/world/lousy-bums-jibe-at-poles-by-reagan-gets-on-the-record.html
レーガン大統領の暗殺未遂事件や失言・政策をご紹介!強運でジンクス破りのすごい大統領!
https://history-go.com/archives/14326
無血でソ連を崩壊させたレーガンと他国の流血によりロシアを潰したいバイデン そのとき中国は?
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/78603831a2dc1360c532a64427ffd3b5d096c13d

(ZENMAI 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像 ウィキペディアより引用