合気道の創始者・植芝盛平は、奇跡的な達人であったという伝説が残されている。
植芝盛平はかつて出口王仁三郎に付き添って、蒙古に潜入したことがあるが、この時度々銃弾で狙撃されたという。
だが、驚くべき事に盛平は、銃弾の弾道を読み、発射されたピストルの弾道をかわしたと言われている。おいおい、まるでルパン三世に出てくる石川五右衛門ではないかと、つっこみを入れたくなるが、当然同時代の人も疑問に思った。
後に、この伝説を不審に思った陸軍の軍人に「本当に銃弾がかわせるのか、試したい」と詰め寄られてしまった。
その為、植芝盛平は、銃を構えた軍人と対決することになった。
盛平が軍人を地面に倒すか、軍人が盛平を銃で射撃するかで、決着がつく対決ルールである。盛平にとって圧倒的に不利な対決であった。
だが、彼は自分向かって発射された弾丸をよけ、次の瞬間には、軍人の体を地面に倒していたという。
植芝盛平は、度々軍人たちに稽古をつけていたらしく、他にも軍部には盛平伝説が残されている。
ある軍人が対戦車攻撃の訓練をしていると、植芝盛平がやってきて自分にもやらせろと言い出した。不思議に思ったものの、やらせてみると、スルスルと戦車の下に潜り込んだ盛平が大声で気合を入れると戦車が忽ち横転してしまったとか。
あるとき、上空を飛ぶ飛行機に向かって、盛平が「えいっ!!」と気合いを送ると、戦闘機の機体が大きく揺れたとか。まさしく、これらの伝説は超人の名に相応しい。
合気道の弟子たちの間でも、植芝盛平の伝説は残されている。
ある弟子が毎日山登りをする盛平の背中を押す役割をやらされていた。あるとき、悪戯心を起こした弟子が手を離してみた。「これで、転倒するだろう」と思いながら見ていると、盛平は体を後ろ斜めに反らしたまま登っていったという、
また、ある弟子の話によると、盛平の肩をもんでいると、師匠の体から放射される気に当てられ、いつも揉んでいる弟子たちの方が眠ってしまったという。
またある時、弟子たち全員で一斉に盛平に飛び掛ったことがあるという。「よし、今度こそ先生をやっつけたぞ」と弟子たちが喜んでいると、高笑いが階段の方から聞こえる。
ふと見ると、いつの間にか道場の階段に腰をかけた盛平が豪快に笑っていたという。もはや、時間と空間が通常の人間とは違うのではないか。
さらに、映像関係者の間に残る“とんでも伝説”によると、どんなに性能のよいカメラで撮影しても、植芝盛平の姿が消えてしまうのだという。つまり、演舞をしている盛平を撮影すると、途中で盛平の姿が度々消失してしまうというのだ。
何度、取り直しても、時々植芝盛平は消えてしまうらしい。つまり、映像に記録できないほどのスピードで動いているのだ。もはや、神の領域であろうか。
※本連載は『フーミー』および『まぐまぐ』で毎週配信中の山口敏太郎メールマガジン『サイバーアトランティア』の傑作選です。
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