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あるアニメーターが衝撃発言、「崖の上のポニョ」に企画流用疑惑の真偽

画像 崖の上のポニョ(2008)© 2005-2023 STUDIO GHIBLI Inc. ©東宝

『崖の上のポニョ』は、2008年に公開されたスタジオジブリ製作のアニメーション映画である。

宮崎駿の10作目の監督作品で、当時子役として活躍していた大橋のぞみを歌唱の一人として起用した主題歌が、オリコンシングルチャートでTOP10入りを果たしたことでも話題となった。

本作品は、原作・脚本・監督のすべてを宮崎本人が担当することとしては『千と千尋の神隠し』以来7年ぶりの作品として、公開前年の2007年に新作発表された。

だが、その影である一人の悲痛な声が上がっていた。

2007年3月、アニメーター名倉靖博(なくらやすひろ)のブログにおいて、崖の上のポニョが、名倉の作品から盗用されたのではないかという疑惑が浮上しだした。

当時の発表では、崖の上のポニョは「人間になりたい金魚の話」であり、プロデューサー鈴木敏夫によれば、宮崎はそのヒロインを「金魚姫」と呼んでいるとのことだった。名倉いわく、その設定が自身の手掛けた作品「金魚姫のシャーベット」「金魚姫の銀魚姫なココロ」に酷似しているという。

盗用疑惑は、一層の強まりを見せる。

名倉は自身の作品集『名倉靖博の世界』(2004)をジブリ内で購入希望者が募られていて、認知しているスタッフなどがいる可能性があると推測する。何より、「金魚姫のシャーベット」についてはスタジオジブリのアニメーターが数人、作画を手伝っていたという。


かつて、「天空の城ラピュタ」の一部作画を担当したこともある名倉は、幾日にも渡ってそのショックをブログに綴り続けた。何より、一方の作品「金魚姫の銀魚姫なココロ」についてはこの時点で、映像化・漫画化両面が現在企画進行中であったということで、その悲痛な思いは計り知れないものであったことがうかがえる。

このことについては、当時の大型掲示板でも様々な意見が飛び交うこととなった。だが、この時点ではまだ作品自体が公開されているわけでもなく、また「金魚姫」というワード自体がそれ以外の作品でも多く見受けられるということで意見は割れた。

さらには、名倉に対しても荻岩睦美『不思議の国の金魚姫』との類似のほか、名倉の『とんがり帽子のメモル』と荻岩の『銀曜日のおとぎばなし』との類似性についてを問われるなど、泥沼化することとなった。

一方では、知名度の関係から名倉側がパクったという「逆盗用」を懸念する声もあった。

因みに、「金魚姫」というワードが検索で多くヒットすることについて名倉は、「あくまでも個人的に愉しむ趣味のサイトだったり、アニメーションとは別業界のものが殆どです」と主張している。なおライター・漫画家の飛鳥昭雄は、この一連の件について「これはパクリというより、嫌がらせ、いや元ジブリ作家アニメ作品の潰しの疑いが出てくる」と自身のHPで語っている。

崖の上のポニョの疑惑については、この当時一時的な盛り上がりにとどまったようである。名倉のブログでは、崖の上のポニョが公開となった時期にこれといって関わる記事は見当たらず、現在この件はほとんど語られることはなくなっている。

【参考記事・文献】
アニメーターの名倉靖博氏「『金魚姫』をジブリに盗られた。ジブリ新作『崖の上のポニョ』の原作は自分の作品」
https://itainews.com/archives/943636.html
またたき街雑記 2007年3月
https://blog.goo.ne.jp/ynakura/m/200703
ASKA AKIO WORLD 第140回
https://akio-aska.com/column/fude/131_140/h140.html

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(黒蠍けいすけ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)