グレムリンとは、イギリスの伝承などに登場する妖精の一種であり、機械にいたずらをする存在とされている。ファンタジーものの創作物においては架空の種族という題材にも用いられており、スティーヴン・スピルバーグ監督の映画のタイトルともなっている。
妖精伝説はヨーロッパにおいても多々見られるが、グレムリンは前述の通り「機械にいたずらする」という特徴があるため、機械が登場し始めた時代から語られるようになった存在である。このため、他の妖精に比べてその歴史はきわめて浅い上、歴史的な文献における記述も無く、その存在は口伝てによって広まっていったという経緯を持っている。
グレムリンは、第一次世界大戦時、インドに駐留していたイギリス空軍の間で噂されたことがきっかけになったと言われている。パイロットたちの間で、原因不明のエンジントラブルを引き起こす”存在”として広まるようになり、1929年のマルタ島・英国空軍隊内誌に最古の記録があるとされている。その後、第二次世界大戦を通じてイギリスのみならず、アメリカ空軍にもグレムリンの噂が広まることとなった。
機械にいたずらするというグレムリンであるが、前述したように当初は主に飛行機を標的としたものが大半であった。そのためか、諸説あるグレムリンの起源について、「高い山に住んでいたグレムリンは翼を持たない妖精であり、人類の生み出した飛行機械に興味を抱いたため乗り移った」というような説明がなされている。現在、航空機を含めた様々な機械の原因不明なトラブルや故障を指して、「グレムリンの仕業」「グレムリン効果」という言葉も生まれるようになった。
グレムリンが噂として語られ始めた理由には、原因不明の機械の故障やトラブルに対する”得体のしれない存在によるもの”という擬人化的な心理によるものは当然ながら、その発祥が近代の欧米であるということから、発展が強まっていった日本などの黄色人種に対する「黄禍論」が影響していると見る説も存在する。
一方では、もともとは人間に親切であったが、人間が感謝もせず蔑ろにし続けたため、人間を攻撃するようになっていったという、人間の驕りを示唆する教訓めいた解説がなされることもある。
このように、おおむね海外の目撃や体験に偏るグレムリンであるが、実は日本でもそれらしき例が存在している。それは、作家山口敏太郎の母方の叔父によって語られた、陸軍の間で囁かれた妖怪「空坊主」という話による。当時、偵察などに使用する飛行機を所有していた陸軍の間で、パイロットが飛行中たびたび不気味な存在を目撃していたというのだ。
「空坊主」と称されたその存在は、坊主頭で着物を着た初老の男性であり、飛行機の羽の上をはい回り操縦席のパイロットにつかみかかってきたという。山口は、この空坊主と呼ばれる妖怪を日本版グレムリン伝説の一つとして紹介している。
【参考記事・文献】
グレムリン、カワイイ?怖い? 機械にイタズラする憎めない妖精
https://waqwaq-j.com/celtic/18887/#i-8
グレムリン効果・現象の意味や由来は?イギリスの妖精と工場のポスターが元ネタ?
https://kokoringo.com/guremurin_01-2-245
(ZENMAI 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像 ウィキペディアより引用
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