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否定されてもなお密かな支持を得続ける「名探偵コナン」黒幕説のあれこれ

画像『名探偵コナン 灰原哀セレクション 裏切り者と仲間達

1994年から少年サンデーで連載され、今なお強い人気を誇る推理マンガ『名探偵コナン』。1992年に少年マガジンで連載が始まった『金田一少年の事件簿』によってもたらされた、推理マンガのブームを受けて始まったと言われている本作品は、掲載雑誌の看板となるほどの地位を獲得し、現在多くのスピンオフ作品が展開されている。

主人公である江戸川コナンは、元々数々の推理で事件を解決してきた高校生探偵の工藤新一であり、彼が謎の黒い組織によって毒薬を飲まされ、体が小学生の姿になってしまったことから本作品の物語は始まる。この黒の組織については、現在も読者によって長年考察され続けてきており、その黒幕は誰であるのか幾度も議論がされてきた。

当初から噂されていたのは阿笠博士であった。コナンの正体が新一であることを知る数少ない人物の一人であり、数々の事件に巻き込まれるコナンを手助けするための道具を多く発明するメインキャラクターである。黒の組織のメンバーは、ジン、ウォッカ、シェリーといった酒の名に因むコードネームが使われており、博士の名前である阿笠もカクテルに「アガサ」という名のものがあることから、組織とつながりがあるのではないかと言われてきた。


また、その異様なほどの発明品の数々から、実はコナンが飲まされた薬を開発した本人ではないかとも言われてきた。この阿笠博士黒幕説は、一時期最も知られたものとなっており、二次創作で書かれた「阿笠博士が薬の開発を暴露する」シーンが”本物”として出回るほどであった。だが、この説は作者から直接否定がなされており、一応の鎮静化はなされたようである。

この阿笠博士黒幕説は、名前による決め手が強かった。そして、これと同様に名前から黒幕ではないかと考えられたのがコナンのクラスメイト吉田歩美(よしだあゆみ)だ。彼女の名前は、海外版において「エイミー・イェガー」となっており、ドイツに「イェガー・マイスター」という酒が存在することから、組織を彷彿とさせたのだ。さらに、実は彼女はコナンと同様に体が縮む薬を服用し、コナンのそばへ監視として潜入しているのではないかと囁かれた。

この黒幕が毒薬を服用し若返ったという説は、この他の説も浮上させた。特に注目されているのは、同じくコナンのクラスメイトである円谷光彦(つぶらやみつひこ)だ。小学一年生でありながら、その博識さがきわめて群を抜いているといった理由が挙げられているが、もちろん根拠はそれだけではない。




2017年、作中で黒幕の正体が、99歳で亡くなった謎の大富豪・烏丸蓮耶(からすまれんや)であることが明言された。コナンの作中でも一度だけ名前が登場した人物であったのだが、この人物が実は薬で若返ったことで今も生きている、あるいは本物の光彦と入れ替わったとも言われており、男性ということもあって光彦に疑惑の目が向けられた。

この光彦黒幕説のインパクトは強く、元黒の組織の一員で逃亡中であった人物から「お前はわしと同じや」という発言をされたり、また同様に元黒の組織の一員であった灰原哀(はいばらあい)に執着していたりという場面などから、組織との関係性がかなり強いのではないかという考察が多く見られ、阿笠黒幕説についで有名な説ともなった。

だが、これらの説は強引なものが多く、光彦という名前から酒の名前を無理やり連想させ、果ては本誌以外で別の執筆者が連載を手掛けていた『名探偵コナン』の、明らかなミス描写が根拠に挙げられるなどの事態を生んだ。そして、のちに作者が「少年探偵団は無関係」であると発言したことから、光彦黒幕説及び先の歩美黒幕説も否定されるに至ったのである。

【参考記事・文献】
名探偵コナンの都市伝説・裏設定まとめ!黒幕の正体や新一と怪盗キッドが似ている理由は?
https://bibi-star.jp/posts/16863
名探偵コナン【黒幕=光彦】説とは?根拠となる証拠理由や作者の否定を解説
https://otraolaotraonda.com/meitantei-konan-mitsuhiko-kuromaku/
【コナン】黒幕の正体は光彦?証拠や否定の理由も調査!
https://sugakai.com/kuromaaku-mituhiko-75

(ZENMAI 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)