殺人を記録した映像である「スナッフフィルム」。都市伝説においては、「娯楽を目的として人が殺され、それをおさめたフィルムが裏世界で売買されている」というように言われているが、実在性についてはハッキリとしていない。
定義によるが、テロ集団における処刑動画などは、”娯楽”目的とはみなされないため、スナッフフィルムに含まないとする意見もある。
スナッフフィルムという言葉が初めて使用されたのは、1971年に出版されたエド・サンダーソンという人物の著作『The Family: The Story of Charles Manson’s Dune Buggy Attack Battalion』であると言われている。
この作品は、殺人カルトと称された指導者チャールズ・マンソンとその信奉者いわゆるマンソンファミリーについて触れられており、「マンソンファミリーによる殺人の様子を撮影したビデオが存在する」と作者がコメントし、それをスナッフフィルムと称したことで広まり、前述の都市伝説が囁かれ始めることとなった。
スナッフフィルムが本格的な知名度を獲得したのは、1975年に公開された映画『スナッフ』による。この映画は「実際に撮影された本物のスナッフフィルム」との触れ込みによって公開された。その後も、1981年に公開された『食人族』では、劇中の映画撮影隊が殺人行為を撮影したり、撮影隊が殺されたりする場面をリアルに演出しており、集客のために「本物」と銘打ったこともあって勘違いした観客も続出したという。
これらは誇張された宣伝にすぎず、殺人の様子も完全なる作り物であった。だが、インターネットが普及して以来、本物のスナッフフィルムではないかとされる映像が出回っているという噂も、広まるようになっていった。
象徴的であったのは2008年、ウクライナの若者たちによる殺人の様子を撮影した、通称『ウクライナ21』が出回ったことだ。彼らは明確に快楽目的の下、高齢者や女性といった相手を対象に殺人行為を行なっており、しかもその映像を実際に販売する予定であったことが証言されたのである。このためウクライナ21は、初めての本物のスナッフフィルムとも称されている。
前述したように、スナッフフィルムという言葉が広まったのは1970年代ではあるが、それ以前にスナッフフィルムと言い得るものが存在していたのではないかと考えられるものもある。
一説では、発明王エジソンが絞首刑にされる男の様子を自身の発明品である動画撮影機に収めたとも言われており、またテスラの交流電機を危険なものであるというネガティブキャンペーンを展開するにあたって、象に電流を流して感電死させたという噂もある。また、アドルフ・ヒトラーは暗殺を企てた軍事関係者たちを捕らえて絞首刑を実行する際、部下にその様子を撮影させていたという説もあるというのだ。
2015年ごろには、子どもを拷問・強姦する様子を撮影したという「snuff r73」と呼ばれる動画の噂が広まっていた。結果的にこの動画は、シリア内線やその他ネット上に出回っていた衝撃的な動画を、つぎはぎしたものであることが判明している。
だが、この動画は深層ウェブにて発見されたものであり、制作者はいまもって不明となっている。いっときは実際の殺人犯が撮影したものではないかという触れ込みもあったほどだ。殺人犯との関連はたびたび噂となっており、宮﨑勤も被害者となった少女の殺害の様子を撮影したとも噂されていた。
現在では、特殊な条件でしか閲覧ができないというダークウェブの存在が広く知られるようになった。そこでは違法な取引が実際になされていると言われているが、そのような領域において”本物”のスナッフフィルムが存在している可能性については、必ずしも否定することはできないだろう。
【参考記事・文献】
スナッフフィルムとは?残虐すぎるビデオは日本にも存在している? | ToraTora[トラトラ]
スナッフフィルムは実在する?本物の殺人映像が収録されたと噂の映画も
(黒蠍けいすけ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
Photo credit: Bousure on VisualHunt.com