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古代ギリシアの超技術?!オーパーツ「アンティキティラ島の機械」の謎

1901年、考古学者ヴァレリオス・スタイスによって、地中海の島であるアンティキティラ島近海の海中に沈む難破船から、奇妙な遺物が発見された。靴箱サイズの破片で複数の歯車で構成されたこの物体は「アンティキティラ島の機械」と呼ばれ、オーパーツとして広く知られている。

現在、アテネ国立考古学博物館が所蔵しているこのアンティキティラ島の機械は、損壊し錆びて腐食した状態で発見され、大きい塊で縦およそ17センチメートル、横およそ15センチメートルほどであった。紀元前200年~紀元前60年ごろに作られたものと推定され、1950年代、科学史家デクレ・デソラ・プライスがX線などを用いて検査を行なったところ、機械内部には複数の歯車が内包され、それらが組み合わさっているということが確認された。


また、機械の一部に、暦や星座名を示す古代ギリシア文字の記述があったことから、天体の運行を計測するための装置いわゆる天文学用のアナログ式コンピュータではないかと考えられている。設計者については数学者であり熱光線などの兵器の発明でも知られるアルキメデスが有力であるとも言われているが、紀元前1世紀のローマ思想家キケロの記述には、友人である科学者ポセイドニオスが「太陽、月および5つの惑星の動きを再現する仕掛けを作った」とあり、この機械を指しているのではないかとも推測されている。

驚くべきは、この機械が歯車の組み合わせによって回転数やそのスピードが変化する「差動歯車機構」が使われていたということだ。このシステムは、1575年にドイツで作られた天文時計で初めて使用されたと言われているが、約1000年以上も前に同様の技術がすでに用いられていたことになる。

近年になって復元されたモデルによると、日食や月食のタイミングを知らせるような設計になっていたことも判明しているが、製作者が天動説・地動説のどちらに基づいて設計したかについてはまだ判断されていない。




他に類例が見られないこのような機械がなんのために作られたかについては、占星術、宗教儀礼、あるいは航海術のための道具などさまざま唱えられてきた。そんな中、2008年に研究プロジェクトチームが3Dスキャンによってより詳細に調査したところ、古代ギリシアの競技祭典日程を示す目盛りが刻まれていたことが判明し、オリンピックの日取りを告げるための機械だったのではないかという新説が浮上してきた。

このような遺物は、古代の高度なテクノロジーが受け継がれずに残されたものであると言われている。古代ギリシアの文明の文学、哲学、物理学、数学など多くの面が、他の文明と比して想像を超えるレベルに達していたことは確かであるが、このような複雑な歯車の仕掛けが、当時に可能であったかについては、まだ完全に解明されるには至っていない。

【参考記事・文献】
並木伸一郎『神々の遺産オーパーツ大全』
「アンティキティラ島の機械」はいつ起動したのか?紀元前178年12月23日という説
https://karapaia.com/archives/52311825.html
アンティキティラ島の機械 時間に置き去りにされた古代オリンピックのコンピュータ
https://www.hodinkee.jp/articles/the-ancient-olympic-computer-that-time-forgot
オリンピックの日取りを告げる最古のコンピューター
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/190/

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(黒蠍けいすけ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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