『トムとジェリー』は、1940年より放送され続けているアメリカのアニメーションであり、器用ながら短気なネコ・トムといたずら好きのネズミ・ジェリーが織りなすドタバタ劇として人気を博している。
日本国内においても、銀行などのイメージキャラクターで起用されることも多く、アカデミー短編アニメ賞を7回受賞という記録がディズニーを上回っていると言えば、その根強い人気のほどがおわかりだろう。
人気・長寿アニメのさがであろう、『サザエさん』や『クレヨンしんちゃん』などに比べるとその数はぐっと少ないものの『トムとジェリー』にも都市伝説は存在している。定番である「最終回」にまつわる都市伝説もあるが、通常であれはほぼ後味の悪い結末として描かれるのに対し、『トムとジェリー』の最終回に関しては少々毛色が異なっているのは注目に値する。
ある日ジェリーは、トムが姿を現さないことを疑問に思うが、それは死期が近づくと姿を消すというネコの習性によるものだと考える。孤独を感じていたある時、別のネコを見かけたジェリーは、このネコを代わりにからかうことにしたが、ジェリーはそのネコの攻撃によって命を落としてしまうのだ。
死後にジェリーはトムと出会い、そこでジェリーは「手加減して追っていた」というトムの真意を初めて知って涙する。このように、『トムとジェリー』の最終回は、死に関連してはいるものの非常に切なく互いの友情が垣間見える、ネガティブとは言えない内容となっているのだ。
また、『トムとジェリー』の都市伝説には次のようなものもある。まず「トムはネコの着ぐるみを着た人間である」という説であり、これはトムの手足の白い部分が手袋や靴下のように着脱される描写があり、また体の毛が剃られると中から明らかに人間の体が現れ、シャツや下着を着用していることに由来する。
また「トムとジェリーは地球外生物である」という説では、爆発に巻き込まれても、潰されても死なないという、あまりに生物離れした生命力から囁かれるようになり、もう一段階発展して「地球侵略を目論む宇宙人」という説まである。これらは、擬人化という性質上あるいはギャグという表現による誇張と言ってしまえばそれまでであるが、こういった説が唱えられているというのは面白いものである。
この他も「戦争を風刺したアニメである」「ジェリーは負けたことがある」など、それでも数えるほどしかない『トムとジェリー』の都市伝説ではあるが、今後新たに誕生する可能性は充分に考えられる。そもそも、その温床となり得るものが既に存在しているからだ。
その一つとして、1998年からフランスで制作されている『オギー&コックローチ』というアニメがある。YouTubeでも公式に公開されているこのアニメは、ネコのオギーとゴキブリのトリオがドタバタを繰り広げる作品であり、『トムとジェリー』のテイストを強く引き継ぎ、本家以上に過激なドタバタを繰り広げる内容となっている。
マンガやアニメそして特撮の都市伝説の中には、『ドラえもん』の「タレント」や『ウルトラマン』の「町を破壊する最終回」など、設定が類似したあるいは同じ作者の別の作品と混同しミックスされた結果、「幻の回」なるものが存在していたのだという例が多く見受けられる。
『トムとジェリー』にもそうした現象が起こり得ることは充分に考えられるし、その可能性を秘めている一つに、先の『オギー&コックローチ』があるとも考えられる。ひょっとしたら、既にそのような現象は起こっているのかもしれない。
今後の『トムとジェリー』の都市伝説に注目である。
【参考記事・文献】
・トムとジェリーの最終回!悲しすぎる結末は作られた都市伝説なのか
https://okapon-info.com/archives/17924
・トムの正体は人間だった!?トムとジェリーの裏・都市伝説
https://onl.bz/41ckh5u
・OGGY
https://www.youtube.com/@oggy/featured
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(ナオキ・コムロ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)