パワースポット

踊る宗教と呼ばれる宗教団体「天照皇大神宮教」とは?!

天照皇大神宮教とは、山口県熊毛郡田布施町に本部を置く宗教団体である。

教祖である北村サヨが昭和19年に開いて以降、2018年までに信者数は50万人弱と言われており、いっときは同県出身者の元首相岸信介、佐藤栄作以上に地元で知らない者はいないと言われていたほど、かつては認知されていた。

教祖北村サヨは、明治33年に比較的裕福な家庭で生まれた。農作業を手伝う傍ら裁縫や手芸を学び向学心の強い少女であったが、父親の反対によって女学校へ進学することを反対されたという。

「尋常六年しか出ていない」村一番の働き者の「百姓の女房」として生活していた彼女の転機は昭和17年のこと。二階建ての離れ屋敷が不審火により焼失したことに責任を感じ祈祷師のもとを訪ねたところ、水垢離(みずごり)の行や丑の刻参りを始めて続けていったという。

そんなある時、彼女の証言によれば何者かが体内に入り、彼女と対話や命令をするようになったというのだ。その何かは「宇宙絶対神」として、世直しを彼女に命じていき、そのころから彼女は田んぼのあぜ道に立って辻説法を始めたという。

当時、周囲の人々は、急に天下国家と時代を憂い、警鐘を乱打し、訳の分からない踊りを始めた彼女の様子に、「気がふれてしまった」と奇異の目で見ていたという。彼女は、自分の「我」にとえらわれた人間を「蛆の乞食」と呼び、心を磨いて神に近づいていく行を「神行(しんこう)」と呼んだ。

世の中の出来事は神の考えたように動く「神芝居」であり、自分はその一座を率いるよう神から命じられた座長であると称していた。




この教団の大きな特徴は、やはり「無我の舞」であろう。教祖をはじめとした信者たちが、無我の境地で手足を思いのままに動かすという行ないから、評論家大宅壮一が最初に称したと言われ、教団自体が「踊る宗教」という通称で知られるきっかけともなった。

世界には、イスラム教のメヴレヴィー教団による旋回舞踊(セレー)や日本においても踊念仏といった、踊りにまつわる行ないは数例見られている。それらは、踊ることによって神の下に引き寄せられる、無我夢中で踊れば極楽浄土へ行けるといった信仰によって行なわれた。

この教団の無我の舞も、自己中心的な心を捨てて無我の境地に達し踊ることで一切が救われると言われているため、同様の性質を持っているのではないかと考えられる。

因みに、北村サヨの逸話の中には次のようなものもある。GHQによって巣鴨拘置所に拘置される前の岸信介が田布施の実家に帰った時のこと、サヨが岸の実家を訪れ「三年ほど行ってこい。魂を磨いたら総理大臣として使ってやる」と言い放ったという。

そして昭和32年に彼女が上京した際に官邸へ立ち寄り、総理大臣となった岸を見て「どうだ、オレが言うた通りになっちゃろうが」と言い放ったという。その時岸は「おかげさまをもちまして」と返したという。

当時、どれほど彼女に迫力があり、そして影響力があったかをうかがい知れるエピソードの一つだろう。

【参考記事・文献】
・上之郷利明『教祖誕生』
・天照皇大神宮教の誤りを破す
https://ryoulan.com/newreli/tensho.html

【アトラスニュース関連記事】

(ナオキ・コムロ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像 不明 – 講談社「明治百年の歴史 大正昭和編」より。, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=4528051による

TOCANA関連記事
安倍元総理がオカルトを信じたきっかけ? 踊る宗教団体「天照皇大神宮教」北村サヨとは!?