スピリチュアル

「見えない客」

絵を描くコトを生業としております、福島のゴンベッサと申します。

怪談王のネット予選でもお話ししましたが、僕は若い頃、池袋のスナックで働いていました。

夜中2時を過ぎてお客様の流れが落ち着くと決まって店の玄関に置かれたピンク電話に、二度、電話がかかって来ます。

一度目は店のマスターからの状況確認の電話です。

マスターからの電話を切って10分足らずで二度目の電話がかかって来ます。

その電話は応答しても無言なのです。

受話器を置いてカウンターに戻ると「カラコロカラーン」と入口のドアの鈴が鳴ります。

確認に行きますがお客様は来店していません。




それから一呼吸おいて、今度は背後のトイレで「ジャジャジャー」と水が流れる音がします。

ドアノブの鍵の表示は、《閉》の赤色のままです。

たまにトイレで酔いつぶれて眠ってしまうお客様も時々いたので、働き始めたばかりの頃は『誰か残っているのかな?』と思い、声をかけたりしていましたが、中から応答は無くて、しかたなく解錠する道具を探して戻って来るとドアノブの表示はいつの間にか《開》の青に変わっていました。

そして戸をを開けても中には誰も居らず、当然、入り口のドアを開けて出ていった様子もないのでした。

スナックや夜の街ではイロイロなコトがありました。

なお、数年前にそのスナックを訪ねましたが、今ではその場所は立体駐車場になっていました。

そんな小さなお話でした。

(アトラスラジオ・リスナー投稿 福島のゴンベッサさん ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

Photo credit: mcdyessjin (Yu-Jen Shih) on Visualhunt.com