シシノケとは、石川県の山中に現れた謎の生物である。寝袋のような表面には大きさで、鋭い針のような固い毛で覆われており、ナメクジか芋虫のような外見をしているという。
頭部と思しき部分から触角が3本生えて、その先端に目玉のようなものもついており、触角の中心には鼻もしくは口のような円形の穴と、2本のヒゲのようなものもあったという。
2010年4月にネット上で書き込まれたのが最初の目撃談とされており、愛犬とキャンプ場で過ごしていた目撃者が深夜にシシノケと遭遇したという旨が語られた。夜間、テントの中で過ごしていると、赤ん坊の泣き声のようなものが聞こえ、普段は大人しいはずの愛犬が威嚇を始めた。
様子を見に向かった目撃者たちはシシノケと遭遇し逃亡、管理人の下へ逃げ込んだあとは地元の猟師たちへ連絡がなされ、その晩は難を逃れることが出来たという。目撃者と管理人が息を潜めていた際、建物の周囲をうろついていた怪物から「イトッシャノウ」という謎の声が発せられたという。
シシノケは、土俗の神であると言われている。かつて山中に存在していた村の人々が、ある時生まれた奇形の子どもを山の神として崇め始め、山の村を迫害していた里の村を荒らすよう祀っていたが、里の村と同じく山の村も荒らされたために封印されたという。
また、「イトッシャノウ」とは、地元の方言であり「かわいそうに」という意味であるといわれ、これは「わたしと遭遇してしまってかわいそうに」という悪意ある宣言とも解釈されている。
その後も、2013年には北海道にて登山者がシシノケと思われる存在に追われたという話が、2015年には群馬県の山中でシシノケのような生き物が横切っていくのを目撃したという話が書き込まれており、シシノケのような存在は各地の山中で確認されているようである。
そのほか、中部地方や新潟と推測される地でも類似の存在の目撃が報告されているようである。また、北海道の目撃談については、アイヌ語と思しき言葉で声を発していたとのことであり、さらに若い女性のような声質であったことから、シシノケは成長を遂げるような存在ではないかとも考えられている。
山の神として祀られたが、信仰が薄れ零落したものと言われている存在に「山姥」(やまんば)がいるが、シシノケに伝わるという話からすると、かつては信仰の対象とされたが封印されるという似た経緯が見受けられる。ただシシノケの場合は、人々の身勝手から信仰され、また身勝手な理由から封印されてしまった存在である。シシノケが人々を襲うのは報復の意図を持っているように思えてならない。
シシノケが存在しているとするならば、攻撃以外の対処を改めて考えねばならないだろう。
【参考記事・文献】
・朝里樹『日本現代怪異事件』
・変なものを見てしまった。『シシノケ』
http://world-fusigi.net/archives/7155846.html
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(ナオキ・コムロ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
Photo credit: MIKI Yoshihito. (#mikiyoshihito) on Visualhunt.com
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