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夢の予言者「ジュセリーノ」は本当に的中する能力者だったのか?

ジョセリーノ(本名ジュセリーノ・ノーブレガ・ダ・ルース)は、ブラジルの英会話教室の教師であり、また睡眠中に夢を見ることで未来に起こることがわかるという予言者として知られた人物である。2000年代後半ごろに、日本のメディアでも大きく取り上げられ一時ブームとなった。

彼の証言によると、事の発端は8歳のころに遡る。ある日、彼は「神秘的な黄金の球体」が見えるようになり、それを手でつかんでから1年ほどして自身の能力に目覚めたという。9歳になってから彼は毎晩のように夢を見るようになり、夢の中で「助言者」という存在が彼に対して言葉やビジョンを与えるのだという。それらの夢は、いつ・どこでといった情報が明示された「未来の出来事」の情景に自分が居合わせているものであったというのだ。

13歳になると、彼は夢で見た予言を「予言警告文」として当事者や機関へ手紙を送るようになるが、この行為も助言者の命令であると彼は言っている。その数は、約40年間で10万件を超えるという驚異的なものである。2006年ごろから、彼は日本でもメディアに取り上げられることが増え、90%の的中率を誇る予言者として一大ブームを巻き起こした。




しかし、彼の予言に対しては非常に懐疑的・否定的な見方が強いと言わざるを得ない。彼の予言の多くが、出来事が起こった後に公表される後出し方式であったことも一因とされるだろう。何よりも、前述したような万を超えるほどの警告文を残していればいくつかは当然当たるか、もしくは近いと解釈されるものがヒットするだろうという確率的な面で見ても、予言と呼べるほどの的中率ではないと見なされている。

このような事情は彼の母国であるブラジルでも同様で、彼は『文書偽造を行っている予言者』と称され、ブラジル版のWikipediaでさえも協議の末にそのことが固定化して掲載されているというのだ。

予言予知は、「意識させることで回避させ未来を変えることができる」「外れるために降ろすものである」として擁護される部分はある。当然、ジュセリーノに対してもこうした擁護の声は少なからず存在している。

しかし、人為的な出来事ならいざ知らず自然的な災害などに、それを適応するのは少々厳しいものがあるだろう。現にジュセリーノの予言の多くは噴火、地震、旱魃(かんばつ)といったものが目立ち、そのほとんどが的中したとは言い難いものばかりなのだ。

もし予言の的中を自己顕示欲のためなどではなく、人々を救うために行なうことが目的なのであれば、疑われる形式は限りなく取り除いていくべきであろう。彼は、誤った戦略に固執しひたすら悪手を突き進んでしまった悲劇的な自称“予言者”なのかもしれない。

【参考記事・文献】
・山口敏太郎『超常現象のつくり方』
・ジュセリーノ
https://onl.bz/1dgwuhz

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(にぅま 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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