スピリチュアル

「すきま女」

初めまして。

以前のアトラスラジオで、すきま女の話をされていたのを聴き 私の勤め先で起きた心霊現象の事を思い出したので 山口先生に聴いていただきたく、メールをさせていただきました。

早速ですが、これは私が北海道の某リゾートホテルで働いていた時の話です。

当時私は、料飲課という部署にいてホテル内の居酒屋で働いていたのですが、同じ料飲課 にはジンギスカンを提供している店もありました。そのジンギスカン店はホテル内ではなく、ホテルの外にあったログハウスで営業していたのですが、予約制となっていたので、予約が入った時だけ居酒屋のスタッフの誰かが行って、営業をするというスタイルでした。

ある日、そのジンギスカン店に予約が入ったため、居酒屋スタッフの A さんがその日の営 業を担当することになりました。

営業日前日の夜(23 時頃)、居酒屋の仕事の合間に A さんが「明日の準備しに行ってくるわぁ」と一人でジンギスカン店の準備に行ったのですが、30 分ほどして居酒屋に戻るなり、引きつった顔で「あの店、ヤバイ!」と言い出しました。

「えっ?何かあったの?」と聞くと「いやぁ、明日の準備で食器とかの用意をしていたら、 店の天井のスピーカーから声が聞こえてきたのよ、有線かけるやつね。でさぁ『あれ?有 線の電源入れたっけ?』と思って機械見たらさぁ、電源・・・入ってないんだよねぇ。電源入ってないのに、スピーカーから女の人の声がずっと出ていて、何を言っているのかは 全然分からなかったけど、怖くていられなくなって帰ってきちゃったよ。マジでヤバイよ。 俺もう行けないわぁ、あの店!」と。

翌日の準備はまだ途中でしたが、Aさんは『もう行けない』と言うので、当時アルバイトで 居酒屋に来ていた大学生のB 君に行ってもらい、準備の続きをしてもらいました。

もちろんこの話は B 君には伝えず。全ての準備を終えて戻ってきたB君に「どうだった?問題なかった?」と聞くと「別に何もなかったですよ。ばっちりですよ」と。

それをAさんに伝えるとは「えぇ~マジで?でも俺はもう絶対行かない。明日の営業も行かないから!」と。

仕方ないので、翌日の営業は私が行くことになりました。 ジンギスカン店営業の当日、昨夜のAさんの一件があったので私も良い気持ちはしませんでしたが『営業は夕方だし、B君も大丈夫だったし何も起きないでしょ』と自分に言い聞かせ、14時頃からジンギスカン店に行き開店準備を始めました。

準備をしていたところ、天井の照明が一ヶ所切れていることに気づき、脚立を用意して電 球を変えることにしました。脚立の高さは1m50 ㎝ほど。脚立に上り電球を交換していると、私の足元で「すみませ~ん」と女の人の声が。

「はい、なんでしょう。」と自分の足元を見ましたが、そこには誰もいません。

『えっ?・・・何?今の声。女の人の声だったよねぇ?』 確かに女の人の声で「すみませ~ん」と言われたのに、そこには誰もいません・・・というか、人なんているはずがないのです。 営業時間前だったので入口の鍵は閉めていたし、自分が入ってきた従業員用の出入り口も 鍵を閉めていたし、店内には自分一人なので誰かがいるはずがないのです。

昨夜、Aさんが聞いたのは、スピーカーからの女の人の声。今自分が聞いたのも女の人の声。『ヤバイ!出た!』とすぐに店を出て、走って居酒屋のスタッフルームに戻りました。

スタッフルームには、Aさんがいたので「ヤバイよ!あそこやっぱり出るよ!絶対出る!」 と今起きた話をしていたところ、B君が現れ「どうしたんですか?何かあったんですか?」と。

昨夜のAさんの件と今起きた事をB君に話すと「面白いですねw今日の営業、僕が行きましょうか?昨夜も何もなかったし、僕なら大丈夫ですよw」と言うので、本当なら自分が営業担当だったのですが、喜んでB君に交代してもらいました。

その後、ジンギスカン店の営業時間となりましたがB君が途中で戻って来ることもなく、閉店の時間までジンギスカン店は営業をしていました。

閉店後の片付けを終えたB君が、居酒屋のスタッフルームに戻ってきたのですが、なんだか様子がおかしい。表情も暗い。

「どうした?もしかして・・・出た?」と私が聞くと 「出ました。あの店・・・ヤバイです。見ちゃいました・・・女の人。」とB君。

「えっ?声じゃなくて姿を見たの?」と聞くと、「はい・・・見ました。店にビールサーバーが2台あるじゃないですか?そのビールサーバーの狭い隙間に女の人が立っていました。ホールでお客さんの対応している時に、なんか背中に寒いモノを感じたので振り返ったら、ビールサーバーの隙間に女の人がいて・・・ あんな狭い隙間なのに、なぜか普通に立っているんですよ。小さくないんですよ?サイズは普通の女の人なんです。普通の女の人なのに、あんな狭い隙間にいたんです。明かりも点いていて、お客さんもたくさんいる中で、“すきま女”が僕を見てるんですよ。めっちゃ怖かったですよ。怖かったけど頑張って営業は続けましたよ。僕偉くないですか!?」と、 なんか変なテンションで恐怖体験を語り続けるB君。

初めは A さんが聞いたスピーカーからの声。 次は私が聞いた足元からの声。そして最後はB君が姿を。共通するのは全て女。

この話を上司にしたところ、上司は笑いもせず 「分かった・・・分かったよ。お前たちはもうあそこに行かなくていいよ。店の営業は他 の部署にやってもらうから。大丈夫だ。」と全てを知っているかのような感じ。

その後、しばらくは他の部署の人が営業をやっていたようですが、2年くらい経った頃にそのジンギスカン店は完全に閉店となり、建物自体も解体されました。

あそこがどういう建物だったのか?過去に何かあったのか?自分達が体験したことがあまりにも怖かったので、その当時は上司に詳しい話を聞くことはしませんでしたし、上司も転勤となってしまったため、結局何も分からないまま。

あの一件から数年後、私もホテルを退職しましたが、今でも“アノ声”がはっきり耳に残っています。 “すきま女”の姿こそ見ていませんが、思い出すだけで背筋がザワザワする体験でした。

(アトラスラジオ・リスナー投稿 吉屋さん ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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