2015年3月、日本人二人を含む全員が死亡と伝えられたドイツの格安航空機「ジャーマンウィング」の墜落に関して、「実はテロであった」という話が伝わってきている。
この事件は、副機長がノイローゼで、基調を締めだした後飛行機を操って山脈の斜面に激突させ、乗客乗員を道連れに自殺をしたと報じられている。
しかし、その公開情報において不思議な点が多いのも事実だ。実際に、ボイスレコーダーの音などは全く公開されていない。また、死亡した乗客の情報もあまり流れてこない。日本人が犠牲になったにもかかわらず、いつの間にか報道が途切れた印象がある。
さて、本件に関し、ヨーロッパにおいてドイツ連邦情報局(BND)の幹部は「あれはテロである」と発言して話題になっている。
「BNDは、イスラムの情報をほとんどチェチェンと連携して取っている。ドイツとロシアの微妙な関係から、チェチェンはドイツに近しい関係である。そのためにフランスではイスラムテロが多発してもドイツにはテロは存在しない。しかし、一昨年メルケル首相はチェチェンと対立しているクルド人保護を表明。そのために『裏切られた』としたチェチェン人がBNDの幹部の乗ったジャーマンウイング機を墜落させたのです」
ドイツは、このBND幹部を更迭し、その後、この話を隠ぺいしている。このことに詳しい他国の情報部の話を総合するとこのようになる。
BNDが、チェチェンと組むことによってイスラムの情報を得ていたことは事実のようだ。しかし、BNDと関係なくメルケルは、シリア難民を保護するだけでなくクルド人自治区の創設に前向きであることを主張。クルド人は、ロシア人が援助をしていたにもかかわらず、ドイツがその支援の罠の中に入るということになり、チェチェン勢力がドイツを恨むようになったのである。
件の副機長は、今回の乗務の前1カ月くらい、トルコを旅行し、その間、1週間くらい行方不明になっている。一説には、その間にチュニジアのテロ組織の活動に参加していたとも伝えられる。また、その元恋人は、BNDやフランスの情報機関が要注意人物として注目しているテロリスト関係者の娘であり、件の副機長も「要注意リスト」に入っていたというのである。
しかし、ドイツ政府としては、「テロリストとして警戒していた人物」や「要注意人物」をそのままにして、BND幹部が犠牲になった、それも、一般人を多数巻き添えにしてフランスの国内において死んだ、などということはプライドにかけて発表できるものではない。なおかつ、メルケル首相の不用意な発言によって、多くの人が犠牲になったなどということは、ドイツ政府としても避けなければならないことなのである。
実際に、BND幹部の発言の中には「ボイスレコーダーには、機長が退出後、副機長と、別人の声が入っており、その後銃声が一発して声が入らなくなっている。マイクの呼称ではなく、その後機長が扉をたたき、声を出しているものが入っているので、中に誰かがいたことは間違いがない。また、事故調査の現地からは、銃弾が一発発射した後の拳銃が発見されている。たぶん、前方に座っていたテロリストが、副機長を殺し、その上で何らかの形で飛行機を墜落させたと思われる」というものがあり、その信憑性が問われている。
事件や事故に関しては、「高度に政治的な事情」で、真相が隠されているものが少なくない。その「公式発表」からどうやって真実を発見するのか。そのことが問われる事件なのである。
文:宇田川敬介(作家・ジャーナリスト)