事件

イタチザメが吐いた「タトゥーの入りの腕」で殺人事件が発覚!?

犯罪、それも殺人事件が意外な所から出てきた証拠により、解決に向かうという小説のような出来事が現実に起きていた。

1940年代、オーストラリアの小さな水族館であるクーギー水族館に、新たな展示物として約4メートルのイタチザメが加わった。クーギー水族館は家族経営で、大きな風呂桶やプールのような水槽で捕まえてきた魚達を飼育し、展示する形式だった。大きなイタチザメはオープンしたばかりの水族館の中ではかなり大きな魚であり、近海で目撃された事もあって目玉として連れて来られた。

だが展示から1週間後、サメは急に口から何かを吐き出した。目撃者のナルシス・レオ・ヤング氏は、シドニー・ヘラルド紙の取材に対し次のように証言している。

「私はサメから3、4メートル離れたところにいたのですが、サメの口から茶色の泡が大量に出てくるのをはっきりと見ました。次いで、鳥とネズミに加えてタトゥーの入った男性の腕が出てきたんです」



この腕を検分した警察は、この腕がサメに喰いちぎられたものではなく、切断されたものだと断定。後に指紋の照合と「ボクシングをする男」のタトゥーからジミー・スミス(45歳)の腕である事が判明した。

スミスは地元の犯罪者レジナルド・ホームズの仲間であった。彼は麻薬の密輸業者であり、通過する船を使って違法な商品を運んでいた。しかし彼は元軍人の犯罪者仲間のパトリック・ブレイディと組んでホームズを脅迫するようになったという。

ブレイディは、スミス失踪の第一容疑者はホームズであると警察に証言したため、警察はホームズを逮捕した。だが彼は尋問の最中に自分の頭を撃って自殺を試みたのである。幸いにも、ホームズはどうにか一命を取り留めた。その後、取り調べを受けた彼は、ブレイディがスミスを殺したことを認めた。

彼はバラバラにされたスミスの遺体を持って自宅の敷地に現れ、「シドニーの見送り」で遺体を港に投棄した。「シドニーの見送り」は1920年代から1930年代にかけて犯罪組織が不要になった遺体を遺棄する際に使われた隠語で、早い話が遺体を細かく切断して海に投棄するというものだった。

スミスの遺体は海に捨てられた後、その腕が小型のサメに喰われた。そして大型のイタチザメが小型のサメを補食し、その9日後にクーギー水族館のオーナーであるバート・ホブソン氏が水族館の目玉としてイタチザメを捕まえ、事件の発覚に至ったのだ。

その後、スミスの遺体はオーストラリア海軍と空軍によって広く捜査されたものの、腕以外の遺体は発見されなかった。そのため、スミスについては殺人事件に問えなかったという。

ちなみにホームズは何者かによって胸に3発の銃弾を受けて車の中で死んでいるのが発見されている。

(田中尚 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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