スピリチュアル

「劇場の座敷童」

讃岐の白狐です。

今回は、私が出会った劇場の座敷童、若しくは芸能好きな座敷童の話です。私自身の見解としては、幽霊ではなく妖怪的な存在だと感じてます。

城下町、T市の入り組んだ町中に水産会社の会長宅を改造して、1階が住居、2階が小劇場、3階が展示ギャラリーとなっている建物が有ります。その2階で催される創作舞踊の照明プランと設営とオペレートを私が依頼されて行った時の話です。

早朝より設営を開始し、夕方よりダンサーを含めリハーサルを行い、22時頃全ての工程を終えました。ただ私の個人的なこだわりで照明演出のプログラムを最初から修正したくなり、家主である水産会社の会長にお願いして、音を出さない事で、22時から翌朝までの作業を了承されました。

たった一人で会場に残った私は、真っ暗な場所で照明操作卓の手元の明りの中だけで作業を開始しました。

その劇場は小劇場で客収容100人程で、想像しにくいとは思いますが、1階から3階までつながった階段の2階の踊り場に会場からはみ出す様な形で黒い暗幕で囲って照明音響のブースを作り、少しでも観客が入れるようにしていました。

つまり私の位置的には階段の通り道を遮るような位置にありました。音は出せないので、ヘッドフォンで音源を聞きながら舞台を見詰め照明のプログラムを行っていました。

時間的には深夜12時を回った頃でした。

何度かヘッドフォンを外して進行台本に書き込みをしていた時、誰かが3階から降りて来る足音が聞こえました。家主かな?と一瞬思いましたが、足音がペタペタと軽く、大人の足音には思えませんでした。

私は特に確認もせず、とにかく早く仕事を終わらせようと続けましたが、ヘッドフォンを外す度にその足音が階段を下りたり、上ったり、時には駆け上がったり駆け下りたりする足音が聞こえました。

明らかに人ではないと確信しましたが、私としては仕事を邪魔されていない以上、関わる事は無いと判断して更に続けました。

ところが仕事も終盤に近付き、「もうちょっとで終わる」と気持を高めた瞬間、照明操作卓から突き出した手元明かりと操作卓の間に女の子の顏が突き出してきました。

さすがに驚いた私はのけぞり、その勢いでヘッドフォンが頭から外れました。




するとその女の子(おかっぱ頭で赤い花柄の着物を着ていて、まるで日本人形)はその様子が面白かったのかケラケラと笑い出し、私の隣に移動して飛び跳ねて喜んでいました。

動けなくなっている私の周りを笑いながら何度か回ると囲まれた黒い幕の裾をまくって、階段を3階の方に駆け上がって行きました。

ふと時計を見ると午前3時を少しまわっていました。さすがに冷静さを取り戻せなかった私は、仕事を諦めて逃げるように建物から逃げ帰りました。

結局、帰っても眠れないまま翌朝、早めに再び会場に入り残した仕事を終わらせましたが、その時、ダンサーの一人が「3階のギャラリーを特別に見せてくれるそうですよ。一緒に行きませんか」と私に言いました。

深夜の事も有り、3階を見てみたかった私は彼女と3階に向かいました。

3階に着くとギャラリーの入り口は、昔の芝居小屋みたいな造りでくぐり戸になっていました。もう、沢山の声が中から聞えて来ていました。ただ、その創作舞踊の演出の女性だけが真剣な表情で中には入らずくぐり戸の前で立ち竦んでいました。

「どうかしましたか?」と聞きますと、自分は入れないと言い。私は、取り敢えず入ろうとくぐり戸に頭を突っ込みました。
でも、私も結局は入れませんでした。

凄い空気の壁があって、少し吐き気がしました。

出て来たダンサーたちに聞いたところ、中には世界中から集めた面と人形がかなりの数展示されていたとの事でした。

結局、私は入れなかった訳ですが、本番中、15時開演でしたが始まると私の横にはいつの間にか昨夜の女の子が現れ、不思議そうな表情で舞台を見ていました。

終演と共に女の子は消えましたが何故か、その時、嫌な気分にはならず、楽しんでくれている女の子に心がホッとしました。

現在、私はT港の大きな劇場にて勤務していますが、実は、その劇場の水場で何度かその女の子に似た子供と出会います。顏と着物は少し異なっていますが、私を見ると微笑んできます。

その子は建物の中を移動している様で、警備の方も目撃していて話を聞くと、私が出会う子と同一のようです。様々な催し物で私の横に立つことは有りませんが芸能が好きな妖怪なのではと、勝手に思っています。

(アトラスラジオ・リスナー投稿 讃岐の白狐さん ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

Photo credit: Sankofa Danza on VisualHunt