パラレルワールド

バミューダトライアングル、謎の失踪は止まったようだ!?

世界で最も謎めいた海域のひとつ、バミューダトライアングル。アメリカ南東部の沖合に位置しバミューダ諸島、フロリダ半島、プエルトリコに囲まれたこの不気味な三角海域は、昔から失踪事件が起きることで知られており、この海域で行方不明になった人々の多くは二度と姿を現さないといわれている。

この海域を通った船舶や飛行機はなぜ消失してしまうのか。

その原因としては超自然的な力が働いたとか、エイリアンに攫われた、謎の海の怪物や異次元ポータル、さらには失われた都市アトランティスに至るまであらゆる説がある。またメタンガスや三角波の発生、巨大な磁気の乱れなど、より科学的に解明しようとする向きもある。

しかし近年の統計によれば、むしろバミューダトライアングルでの消失事件は減少してきているという。果たしてその背景には何があったのだろうか。

バミューダトライアングルの歴史は、1492年にクリストファー・コロンブスが航海中にコンパスが奇妙な動きをし始めたという記録まで遡ることができる。探検家コロンブスは航海に関する詳細な日誌の中で、「夜が更けるにつれて針が北西に半回転し、朝になると多少北西に回った」と回想している。更に海が盛り上がっていたことや、遠くに奇妙な光を見つけたという報告も記していた。

バミューダトライアングルと呼ばれるようになったのは、1964年にアメリカ人作家ヴィンセント・ガダスが「死のバミューダトライアングル」と題する記事を書いてからだ。彼が「この比較的限られた海域は、偶然の法則をはるかに超えた失踪事件の舞台である」と書いた事から、多くの人の興味を呼ぶこととなった。その後数十年にわたり、バミューダトライアングルに対して多くの人が研究するようになったのだから、その影響は計り知れない。




バミューダトライアングルでなぜ飛行機や船舶が消失するのか、様々な説が存在するが、中にはこの地域の地磁気が乱れている可能性があり、コンパスや他の航海用具を狂わせる可能性がある、という説もある。2016年にはノルウェーの北極大学の研究者たちが、「巨大なガスの噴出によるものと思われる巨大な水中クレーターを発見した」と『ガーディアン』紙が報じた。このことから、大量のメタンガスの噴出によって船が難破したのではないかと推測された。

だが、近年のバミューダトライアングルでの失踪事件を見ていくと非常に興味深い事が解る。2017年、プエルトリコからフロリダに向かう小型飛行機がバミューダトライアングル上空で消息を絶ち、4人が行方不明となる事件が発生した。しかし、現時点ではこの事件がバミューダトライアングルで記録された最後の事件であり、ここ数年の記録を見るとむしろこの海域での事故発生率は極めて低いという。

アメリカの映画監督ジョニー・ハリス氏はここ20年間の世界中で起きた海難事故や死傷者の記録を確認し、数ヶ月かけて分析してみた。すると驚くべき結論が判明したのだ。

「世界中の船舶の1.8%が謎の失踪を含む何らかの犠牲者を出していますが、バミューダトライアングルを通過した8634隻の船舶のうち、消失したのはわずか2隻であることがわかりました。事故を起こした割合はここを通過した船の0.02%になるため、バミューダトライアングルでの事故発生率は世界平均の90倍も低い事が解ったのです」

海運専門誌『ロイド・リスト』がまとめた別のデータによれば、バミューダトライアングルは世界で最も危険な海域トップ10にも入っていないという。

いつの間にかバミューダトライアングルは非常に安全な海域になってしまったのだ。オーストラリアの科学者カール・クルスゼルニッキ氏によれば、バミューダトライアングルで起きた失踪事件はすべて悪天候、人為的ミス、飛行機やボートの往来が多いという事実で説明できるという。

本来は何の変哲も無い、普通より少し航行する船舶や飛行機の数が多いだけの海だったのが、たまたま印象的な事故が発生してしまった結果、伝説が一人歩きして生まれたのが「魔の海域・バミューダトライアングル」だったのかもしれない。

(勝木孝幸 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

Photo credit: jaci XIII on VisualHunt

TOCANA関連記事
バミューダトライアングルで失踪事件が激減! 統計から判明した魔の海域の安全性