9月24日に放送されたフジテレビの番組『石橋貴明のたいむとんねる』に、俳優の佐野史郎がゲスト出演した。
この日のテーマは「勝手に語り継ぎたい怪獣映画」で、芸能界屈指の「怪獣フリーク」である佐野が子供の頃にハマった怪獣映画を熱く語った。
番組ではゴジラ・モスラ・ラドン・キングギドラが登場する映画『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年)のほか、石橋貴明が子供の頃「トラウマになった」と語る『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』(1966年)『ガメラ対ギロン』(1969年)の思い出などを心行くまで語った。
近年では地上波テレビで昭和時代の怪獣映画が特集されることは珍しいため、番組開始からインターネット上では怪獣マニアたちから喜びの「咆哮(ほうこう)」が響き渡ったという。
さて、番組の終盤に於いてトドメのひと押しとして、佐野から「これだけは見て欲しい」として東宝製作のとある怪獣映画のタイトルが語られた。
「これは本当にオススメしたいんだけど……」と、なにか奥歯に物が挟まったような、勿体ぶった口調で怪獣映画を紹介。それは、『獣人雪男』(1955年)という作品で、佐野がストーリーを紹介しようしたその瞬間、不自然にカットされ、番組は次回予告へと移ってしまった。
実はこの『獣人雪男』という作品、番組で不自然にカットされてしまったのには明確な理由がある。
『獣人雪男』は、制作元の東宝の自主規制によって、テレビ放送およびDVDなどのソフト化が一切行われていない、いわゆる「封印作品」と呼ばれている映画である。その理由は諸説あるが、雪男が出現する場所が、日本の部落地帯であり、その描写が「差別的」と非難されるのを恐れたためだとされている。
しかしながら、名画座などの既存の映画館では『獣人雪男』問題なく上映されているため、純然たる「封印作品」ではない。ところが、地上波のテレビで『獣人雪男』のタイトルが出てくるのはテレビ史上初ではないかとされ、怪獣マニアの間では改めて佐野の「マニアぶり」「怪獣愛」に改めて注目が集まることとなった。
佐野史郎恐るべしである……!
(文:江戸前ライダー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像©movie poster by Toho Company Ltd. (東宝株式会社, Tōhō Kabushiki-kaisha)