イギリスのストーンヘンジやエジプトのナブタ・プラヤ遺跡など、古代人が建造したとみられる巨石遺跡は世界各地に見つかっている。いずれも天文台やカレンダーだったと考えられているが、どうやって運んだのかも解らない巨石を規則的に配置しているため、現在でも謎が多く研究対象となっているものでもある。
そんな巨石遺跡の中でも最古のものと言われているのが、南アフリカに存在する「アダムのカレンダー」だ。
関連動画
Adam’s Calendar
南アフリカのムプマランガには山全体に数千ものストーンサークルが散在しており、さらにはそれぞれのサークルが経路でつながっているという。
これらのストーンサークル群は1891年にイギリス人探検家Theodore Bentにより最初に発見され、その後の調査で狭いエリアに実に2万個ものサークルが存在している事が判明したのである。
その内の一つが「アダムのカレンダー」と呼ばれているものだ。こちらは南アフリカのパイロットJohan Heine氏が事故で墜落した飛行機とパイロットを捜索している途中、巨石の配置が東西南北を指していることに気がついたもの。その後、数ヶ月にわたって調査した所、春分秋分・夏至冬至を示して岩が整列していることが判明したため、これもまたストーンヘンジのような巨石を用いた古代人による遺跡ではないかと考えられるようになったのだ。
アダムのカレンダーが造られたと思われる年代は75,000年前。世界最古の文明とされるシュメール文明よりも遥かに古いものであり、人間がようやく抽象的な思考を始めるようになったとされる時代の事である。これほど昔の人々が天文学の知識を備えて、巨石を用いた遺跡を築き上げたのだろうか?
この遺跡は地元の長老に『太陽の生誕地』または『Inzalo y’Langa』という名前で呼ばれており、そのことからも昔から天体に関する重要な場所だった事がわかる、という研究者も存在している。
だが一方で、無数のストーンサークルに見えるものはこの地に長年居住してきたパントゥー族の家畜囲いや家の跡であり、「アダムのカレンダー」も単なる岩の並びの配置が偶然東西南北で一致したにすぎないという見方も存在している。
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像&動画 ©Stickerrats/YouTube